UNIT42ブリュッセルサイバー犯罪対策課/1〜3話

 幽霊のはなし…というべきだ。

疲れた男が子供の世話を焼いている。奥さんはいない。 

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ベルギーが舞台のドラマ、2017年。
パトリッ・リドレモン、コンスタンス・ゲイ。

 

妻を亡くした刑事が率いることになったのは、元ハッカーの新人が活躍するサイバー犯罪対策課。ベルギーを脅かす凶悪なハイテク犯罪に、チーム一丸で立ち向かう。

 

このドラマには、中年女の幽霊と、若い男の幽霊が出てくる。中年男の妻と若い女刑事の恋人とおぼしき人物だ。

そして中年男と女刑事だけには、その存在が見えている。それは彼らの人生の暗い影の部分でもあるのだが、あまつさえ、彼らの仕事は死人が相手なのである。

彼らが最後に犯人逮捕に成功する時、犠牲者たち、つまり幽霊がふわっと出てきて嬉しそうに微笑む。面白いんだ、こういうところ。

そもそもが私が見ているドラマの主人公達は、わたしにとっては、幽霊みたいなものだ。現実ではないという意味において。

わたしにとっての幽霊であるドラマの主人公達は幽霊を見ている。さらに彼らは幽霊、つまり、存在しない人間に関わる仕事をしている。

このたぶん意識的な構図が、私は、何故だかものすごく興味深くて愉快なんだ。

 

あ。言っておくと、このドラマは、バリバリ現実感のあるヨーロッパの刑事物です。ただ、幽霊が出てくる。この幽霊達は心象風景的な映像なので、ドラマのリアルさを壊しません。

 

 画面のジワッとした暗さが好きだし、とっても気に入った。

 

 

ピアスと海老フライ

 ついにわたし一人だ。

 友人が耳に穴を開けた…。美しいピアスをつけた写真が送りつけられてきた。

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 わたしは、☝️ご覧のようにイヤリングなのだ。くそぉ…。 

手に持ってるのがそうなんだけど、しかし、イヤリングは数が少なく、素敵なものはみーんなピアスという有様。

わたしと友人は、耳にブチンと穴を開けることに抵抗があり、友人の中では馬鹿にされながらピアスをしていない最後の2人だった。

彼女は娘さんと一緒にブッチンしに行ったんだと!彼女の耳には美しい宝石が燦然と輝いていた…。くそぉ。

「ホントに痛くない?」

「痛くない。ま、ちょっと感じるくらい」

…いや、激痛が走ったらどないすんねん?!あ、あ、耳の辺りが痛いぞ。クソォ…。

 

昔、昔のことだった。花も恥じらう乙女の彼女とわたしは、レストランで海老フライを食べた。あれ?衣の隙間からエビの硬い甲殻が見える!なんと、殻付きのまま、海老はフライにされているではないか!2人は仕方なく、香ばしそうな衣を剥がし、殻を剥がした。「美味しい!」蒸し焼きのようになった大きな海老は美味しかった。2人は黙って食べた。

「ちょっと、これ殻がついてるわよ!」中年の女性がウェーターをつかまえて文句を言っている。

私たち2人は顔を見合わせた。

 

 彼女の誇らしげな写真を見ながら、そんなことを思い出した。

 

 

ザ・ランドマット−パナマ文書流出

メリルのおばあちゃん顔が嫌で敬遠していた。ところがっ!いやあ、最高!面白かった! 

Netflix

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スティーヴン・ソダーバーグ監督、スコット・Z・バーンズ脚本。2019年。

メリル・ストリープゲイリー・オールドマンアントニオ・バンデラスシャロン・ストーン

 

夫を亡くしたエレンは、弁護士のモサックとフォンセカの詐欺取引に巻き込まれてしまう。エレンは詐欺を調べ始めたが、自分の小さな苦境が世界中で起こっている巨大違法取引のほんの一端に過ぎないことを知る。Wiki

 

実際の漏洩事件、パナマ文書をコミカルに映画化したものです。

実在のモサックとフォンセカに扮した、オールドマンとバンデラスがナレーター役なのですが、ガンガン前に出てきて語ります。\( ˆoˆ )/

これが面白い。冒頭、「お金」というものの概念について語ります。「金」は「信用」という価値である、と。

つまり、例えば、ここに百万円の札束があれば、家や車が買えるとします。家は住むことができますし、車は乗ることができます。つまり価値がありますよね。でも、紙の束である札束に価値があるでしょうか?ありませんよね。そこにあるのはこの紙の束で家や車が買えるという「信用」です。

面白い概念ですよね。これに目をつけたのが、頭の良い経済界の人や法律家です。

彼らは、証券、債券、ファンド、先物、株式、デリバティブ等々の仕組みを考えました。これらはお金の別名でもあります。

しかし、違法な仕組みも多かったでしょう。それを政治家と結託して法律を作って、合法にしてしまっているのです。

 

モサックとフォンセカの会社はオフショア法律事務所といわれています。よくわからないのですが、ダミー会社を転がしながら、資金洗浄をし、大金持ちや組織の税金逃れをしているらしい。ホント、よくわかりません、これがきちんと分かるのなら、わたしは貧乏やってないよなぁ、と思います。

(お得だと言われ、Apple Payを使っているけど、何がお得なのか全く分からない…。)

パナマ文書がニュースになった時も、お金持ちの話は関係ない、と思ってましたよ、わたし。

 

しかし、この映画では、庶民であるエレンという孫もいる老夫婦が被害にあうんです。

つまり、オフショア会社などは契約時の実態調査もなおざりらしく、詐欺の隠れ蓑になっていたようです。

また、2000万ドルがゴミ屑になったり、賄賂があたりまえだったり、オフショア会社の周りはマヤカシだらけということが、ユーモラスに描かれます。

 

ラスト、自由の女神の真似をしたメリルが言います、これは私たちの問題であると。何かあっぱれなメリルでした。