奇皇后/“恨”/原因と結果/

彼女の顔をずうっと見ていた。

 (2300文字)

f:id:knori:20200429191637j:plain

韓国映画  「ときめきプリンセス婚活記」のシム・ウンギョン☝️

 

シムさんはもちろんすごく可愛い。可愛いけど、劇中でも子供たちに不細工扱いされるように、美女がひしめく役者たちの中では地味な容貌。

ところが、わたしは彼女ばかり見ていた。引き込まれる、彼女の顔に。

おまけに、全くなんでもないシーンで、気がつけばわたしは泣いていた。それが2箇所。

音楽にも演出にも観客を泣かす意図はなーい!のに、彼女に泣かされた…。

このコメディ映画は、内容もほぼ忘れているけど、彼女のことだけは明確に覚えてしまった。

なんていうか凄い女優だと思った。

 

韓ドラの「王は愛する」には、二人の男性に愛される少女が出てくる。

彼女は美しい。楽しんで見ていたが、彼女の気持ちが二人の男性の間で揺れるあたりから、彼女の顔に飽きてくる…。

カサブランカ」を魅力的に演じたバーグマンが「最後まで、わたしはどっちを好きなのか知らなかったのよ。台本は撮影の都度、直前に渡されるの」と言っていたが、

この少女もそういう役で実際にどちらを好きなのか分からないまま撮影にのぞんでいたらしい。

どっちを好きか明らかにされない役。その顔を魅力的に見せるには多分力量がいるんだなぁ。

 

👇「王は愛する」韓ドラ

f:id:knori:20200429191409j:plain

「王は愛する」韓ドラ☝️

 

このドラマは☝️、中国ドラマの「鳳凰の飛翔」に設定が似ている。

韓ドラも中国ドラマも双方とも主役の王子の親が、毒親なんだ。

 

韓国ドラマのほう(「王は愛する」)では、毒親によって王子の心はほぼ壊れかけていた。それを救ったのが、絶対手放せない友(写真左端)だ。そして王子と親友は少女に恋をする。

 

韓ドラって良くも悪くも中国ドラマに比べると、洗練されているよ。

バリバリ商業主義的なこと、切り詰めた製作などなど、日本とよく似ているのではないかと思う。

が、

わたしは、たぶん、韓ドラ、日本ドラマより中国ドラマが好きだなぁと思う。

中国ドラマの物語りの豊かさに惹かれるのだと思う。

 

例えば、中国「鳳凰の飛翔」と韓ドラ「王は愛する」で考えてみる。

…ま、どんどん忘れるので、わたしの妄想的な印象を書いておくよ。

 

韓ドラ「王は愛する」、では、王子の現状について、因果関係をきっちり描く、原因と結果ってやつだ。なんとなく日本でもおなじみの演出だなぁ、と思うが、

鳳凰の飛翔」では同じく毒親を持つ後の始皇帝が描かれるのだが、こちらは、因果関係にこだわるというより、そういう因果の中で彼がどう生きたのか?その人生を描く。

 

それはとても大きな違いだ。

 

わたしは、悪い結果に対して原因を探り、訂正し排除し、学ぶべきところは学ぼうとするだろう。しかし、原因に対して、関わる事が出来なかったり、余裕がなくただその中で生きるしかないとき…ってのがある。

手も足も出ないような原因に縛られてしまうと、自分に責任を引きつけて前進することが、、できなくなる。毒親のせいなのだ、社会が悪いのだ、etc。原因と結果がイコールで結ばれてしまう。

 

中国ドラマの物語の豊かさは、ヒロインやヒーローたちが決して原因に縛られないところだ。

彼らは、果敢に冷酷に勇敢にむしろ原因を生きてみせる。

それが強烈に中国ドラマに惹かれた理由のひとつだと思う。

  

 

「奇皇后」👇韓ドラ

f:id:knori:20200429191725j:plain

 「奇皇后」☝️韓ドラ

このドラマで非常に印象的だったのが、貢女たちの手紙のシーン。

貢女というのは、毎年、「元」(中国)の属国扱いだった「高麗」から数百人の男女が奴婢(奴隷)として強制連行され、彼女らは貢女と呼ばれた。

奇皇后も高麗から貢女として元に連行された歴史上の人物。

その女性が皇后にまで上りつめた。

貢女たちは、男子は宦官にされたり、女子は宮中で下働きさせられたり、一生、故国に帰ることなく、出世するものもいたが、大半は辛い人生を送ったらしい。

 

で、手紙のシーン。

後の奇皇后は、宮中で下働きをしている時、解放され、高麗に帰ろうとしていた。

大勢の貢女たちが彼女を見送り、手紙を託した。

その時、皇后の一派が妊娠したある貢女を殺すために刺客を送って、その場にいた貢女数十人を皆殺しにした…。

もちろん、後の奇皇后は生き延びて、託された手紙を血だらけの手で開いたのである。

 

「お母さん、末っ子のキクです。

宮中では毎日おいしいものを食べて、幸せにやってます。

(……略)

お母さんに、会いたいです。」

 

下働きの者は雑巾掛けの合間に、その場で、丸めた雑穀だらけのおにぎりを食べる…。

美味しいものなんて食べていない…。

 

無残に殺されたシーンの後だけに、もうもうわたしは可哀想で可哀想で号泣。

 

前にネットで“恨(ハン) ”について書いてあるブログを読んだ。

知らなかったので、びっくりした。

 

 ただ、このドラマを見て、少し分かった気がした。

「恨」というのは、韓国の人にとっては、とても普遍的な思いではないかと思った。

なんていうか、民族の誇りに直結するような観念…ではないかと。

なんていうか、こうした他国人には理解しがたいものを持つ国の人を慰安婦として連行した歴史というのは、大変なことだとしみじみ思う。彼らの誇りを下から支えるもの、それについて、私に何が言えるだろう?

たぶん、韓国人から、慰安婦や植民政策について批判されれば、もうわたしは頭を垂れるしかないのだなぁ、と思ったよ。

しかし、それ以外では韓国の人と一緒に仕事もできれば、友になることもできるだろう、そう思ったよ。

 

「太陽を抱く月」👇韓ドラ

f:id:knori:20200429191800j:plain

 このドラマは韓国で視聴率が50%近かったらしい。

つうわけで見た。

写真の二人が素晴らしかった!特に女の子がイイっ!

 

 

建前は外出自粛!

 買い物に行ってない。なぜなら…

 

f:id:knori:20200419025354j:plain

コロナで外出を控えている、とかでは決してなく!中国ドラマを見ていてがなかった。

慌てて冷蔵庫をチェックする。

鳥の唐揚げが残っていたので、それをゴロゴロ入れて中華粥にする。

後なんとか2品…えーい、出汁巻玉子だ、で、野菜室にポツンと残っていたアスパラと椎茸を炒めることにする。

オリーブオイルに鷹の爪を少々、野菜を入れ、日本酒を少々、できあがり間際に、ジュウと醤油をまわし入れる。

これね、アホみたいなレシピだが、いちおう、栗原さんのレシピで、実は美味しいです。

貧しい食事の時は、器に凝る。

誤魔化すのだ!\( ˆoˆ )

 

  

 

鳳凰の飛翔/逸脱するプラトニックラブ

 中国人の知り合いはいない…一体、中国人ってどんな人たちなの?

 (2200文字)

f:id:knori:20200416153024j:plain

ニンイーとフンジーウェィ(鳳知微)👆 

 

このドラマには、ことわざやら格言がいっぱい出てくる。

どうやら言葉遊びもしているようだ。

こうした通俗的な中国のTVドラマは、頭の良い芸術好きの映画狂をターゲットにしているわけではなく、わたしのようなごくごく一般的な市民が相手。

 

ゆえに、多くの一般的な中国人は格言やことわざを駆使し、言葉遊びが好きなんだろうと思う。

…すごくない?!みんなものすごく言語能力が高いの?

漢文が零点だったわたしは、萎れちゃうよ。漢字が苦手なのよねぇ…わたし。

 ん、たぶん中国語は語彙も多くて、簡潔な字幕を見る度に、どんだけ翻訳者は苦労しているんだろうと思うよ。

 

このドラマは、例によって、ネットにつなげる暇がないほど、面白かったよ! たぶん、男性も楽しめると思うな。

 

Netflixオリジナル

2018年

チェン・クン、ニー・ニー。

 

初めの方は、全然、中国ドラマらしくなくて、カンバーバッチの「シャーロック」を思い出すほど、欧米っぽい作り。

王朝の権力闘争劇をサスペンスフルなミステリーに仕立てているんだ。主人公の寧弈(ニンイー)は天才的な頭脳で権力闘争に挑み、病的な雰囲気を漂わせる。

 

わたしは始めのうち、欧米風のドラマなんて見たくはなかったので、見るのをやめようかと思っていたよ。

たぶん、はじめはNetflix側の意向があった。そのうちNetflix役員は飽きたか帰ってたか、なんてことを思ってみたが、20話前後辺りから、俄然、中国ドラマらしさが出てきて、夢中になった。

初めのほうの−余分なものを削いだ作りが緩んできて、中国ドラマらしくなってくるんだ。“らしさ”ってきっと“余分なもの”に宿るんだろうな…。

 

 

あと、天盛時代という架空の物語のせいか、たぶん時代考証に縛られない衣装と美術がめちゃくちゃ素晴らしくて、ニンイーの部屋の壁のお面のような飾りとかデザインが凄くカッコ良くて、彼の衣装も、(彼の設定が織り物が出来、裁縫もできる)からなのか、毎回、素晴らしく似合っているし、ファッショナブルでめっちゃ楽しみだった。もちろん、他の人の衣装も最高だった!

 

 

覚えのない場所で目覚める白いお寝巻き姿の乱れたニンイーがセクシーで写真を探したがめっからなかった👇のでこれで我慢。(こうみえても撮影時、彼は40歳くらいです)

f:id:knori:20200416153120j:plain

 

 後に皇帝にまでのぼりつめるニンィーには片腕ならぬ両腕が存在する。

かたや、諸葛孔明の再来と言われている学者、かたや、官吏のフンジーウェィ(男に化けさせて、ニンイーが送り込んだ)。

男姿のフンジーウェィがナチュラリメイクで最高に可愛いし、イケてる。のに、最後の方の太いアイラインのメイク顔がイヤだ…。

 

まぁ、物語の大半は権力闘争で、そこにニンイーとフンジーウェィのプラットニックラブも乗っかる。

中世の騎士と王妃のプラトニックラブは当時の規範を越境していく恋愛劇だった。

このドラマの二人もその時代からは飛び出た存在で、二人の恋愛は、革命の精神で繋がっている。

 ニンイーは腐敗した政治権力のあり様を根本から変革しようとしており、フンジーウェイの男装による仕事は見つかれば死罪、女子が政治を語るなどあり得ない時代。彼女もまた変革者であり、おまけに、彼女は後半に明らかになるのだが、全王朝の遺児、皇女であった。

つまり、ニンイーの父である皇帝が倒した王朝の生き残りなのだ。

 

中国の国土の広さというものは、たぶん、日本国土も韓国も東南アジアの国もすっぽり入っちゃわない?ロミオとジュリエットの家同士の争い、というよりは、世界一の多民族国家である中国では、韓国という国を倒して日本という国が王朝を開いた、くらいの感覚なのじゃないかしらん、と思うのだけど…?

だから、ニンイーがフンジーウェィを娶るということは、日本という国で韓国人が皇后になる、くらいのインパクトなんじゃなかろうか?

まぁ、そういう二人の愛でありました。特にニンイーの必死の愛でした。

(´;Д;`)ニンイー…わーん。

 

プラトニックって書いたけど、あの最後の最後ね…寝てない、と思うんだ…。)

 

最後、フンジーウェィはやはりニンイーの必要悪を容認することができなかった。彼女の情というか倫理観は、親兄弟、そして前王朝の残党を殺そうとするニンイーを受け入れることができない…。涙。

 

フンジーウェィ役のニーニーさんは男装の時が素晴らしかった。

彼女は、「いま、わたしは怒りに満ちている」というのだけど、変革者の面目躍如というとこなんだけど、その後、ニンイーとの愛で泣くシーン…これが、浅い。

「わたしってかわいそうでしょ」みたいに泣く…。

 …ニンイー役のチェン・クンが上手すぎるから余計目立ったのかもなぁ。

チェンクンについては、今までアメリカの役者にばっか感激してきたけど、アジアにこんなすごい役者がいたんだ、と感慨深かった。

 

あと、このドラマはやたらめったら、母に寄せる子の愛が出てきて、いったいなんなんだ?と。

 NHKのドキュメンタリーで、中国の辺鄙な辺鄙な農村で、工場へ出稼ぎに出た息子が帰ってこず、村人が老夫婦の畑を手伝う、ってのを見たが、もしらしたら、中国では貧しい親を捨てる子供が問題になっているんかぁ…?

 

…。わたしもそろそろどっかに戻らないといけないなぁ。

 

#

7皇子って男が嘘つきの悪知恵の働くやつでわたしは絶対に嫌いで、彼が出てくると、全部早送りで鑑賞した。 ニンイーとの共演シーン以外は。あいつ、嫌いだ。