誰がために…

 ドラマのイメージがわたしの中で積み重なって、ある疑問が生まれる。

 

「六龍が飛ぶ」2015年韓ドラ

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ユ・アイン

 

 ☝️このドラマは、500年続いた朝鮮王朝を築いた李芳遠(朝鮮王)の物語。

いわゆる絶対的な権力を持つ君主制?を築いた人で兄弟や臣下やら、たくさん殺した。

 そういう残虐冷酷、独裁的な人物を、男のロマンと郷愁、情緒的にユアインが演じている。

いつまでもユアインが心に残っているよ。

 

で、ね、思ったのは、朝鮮も中国も、絶対的な権力者が覇権を握る歴史を持っているんだなぁ、って。

ここでいう権力者って神のような絶対者って意味で言ってる。

ヨーロッパも絶対者(神)を押し抱いているわけで、でも、日本って、成立してないよね。

信長を殺しちゃってるし、北朝南朝の時も独裁的な?天皇を追放してるよね?あと、カリスマ的な天草四郎も徹底的に弾圧されたし、特に踏み絵なんてのは、「絶対者(神)」の否定そのものというか。

 日本人って嫌ってきたんだね?絶対者を?

「場の支配」に加えての絶対者はごめん被る、ってことかな?スゲー面白いと思わない?

ま、なんの資料もない幾多のドラマの中での疑問ですが。

 

 

花郎」2016年韓ドラ

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 ☝️この「花郎」ってドラマのジュソンは、賎民の村で育った。

そこで暮らす奴婢たちは村から出ることを禁じられていた。都に忍び込んだ者は晒し首にされた。

ジュソンは、赤ん坊の時に連れてこられ、マノンは5歳くらいの時に。

ジュソンは、この村で、全く教育を受けずに育つ。字も読めない、弓すら扱えない。

日々の暮らしの手伝いのほか、何も出来ない。

いったい、どんな風だと思う?いったい、どう生きればイイの?すごい状況だよね?

 

彼は、野原を駆け回り、喧嘩に強くて、悪童たちから恐れられる少年に成長する。

ドラマでは所々、彼の生い立ちについて回想シーンが挟まれる。

いつまでも心に残るシーンがある。

 

釣りの帰り道、野っ原を笑いながら歩く二人。

深い草むらに寝転びながら、マノンが毎度語る妹の話。

「いつかお前の嫁にしてやるよ」

ジュソンが嫌だ、と言うので、怒るマノン。

「だってお前に似た顔だって言ったじゃないか」

楽しいやりとりも、マノンの死後に見せられるので切なさ満開。

 

彼は…彼は、一緒に育ったマノンを守るために生きてきたんだよ。

親とも兄とも家族とも思っているマノンを守るために彼は生きてきた。

生きる意味を見いだし難い状況の中で、彼は、そうやって生きてきた。わたし、泣けちゃうんだ。

 

 

そそ、「六龍が飛ぶ」というドラマでは、ヒロインが、ユアインを捨てる。

「なにかをしていないと生きていけない」

ヒロインのこの台詞はチョー印象的。

 

 

 

「瓔珞〈エイラク〉」2018年中国ドラマ

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 ☝️このドラマ、面白かったよぉ!

ひとことで言うと、サド公爵が性描写抜きに描いた物語、って趣。

\( ˆoˆ )/

最初は違うんだ。でも宮中に入ってからは、本当はこれをやりたかったんやん、って感じで怒涛のサドマゾ展開でっす。

サドな皇帝、ヒロインの被虐性はもう快感の域…。このドラマを見るとマゾが支配者なんだってよく分かる。

ただ、写真の二人の初恋物語は、わりと普通なんだけど、何があり得ないって、男性が一途すぎるところ…。ほへぇ。

彼は別れた恋人から「若様、若様」って呼ばれてたん。視聴者の耳にも残るんだ、恋人の呼び声が。

別れて何年も経った彼の書斎でのシーン。彼の世話をする下女がとても可愛い。その下女が「若様」って呼ぶんだ。

下女が死ぬ時、「若様は、呼ぶと優しく微笑んでくれた。でも違うんですよね、わたしに微笑んでいたのじゃなく、若様って呼ぶ声に微笑んでいたんですよね」

 くぅ…悲しい。

ちなみに彼は政略結婚させられた奥さんとも、下女とも…にゃんと、肉体関係がありません。

あらゆる意味で…絶句。

 

ヒロインが毒で死にかけていたとき、靴音がして、息子の後ろ姿が見えた。この幻のシーンも心に残る。

せつない。 

 

 

ドラマのテーマソング。歌詞に惚れ込んだ。👇(ドラマの内容は記憶から抜け落ちたけど)

白衣少年

白衣少年

  • 许诗茵
  • マンドポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

わたしの頭じゃ、歌詞の主語もよくわからない。辞書を引いても更に分からん。

けど…ボーッとして聴いてたら、「酒に酔いしれている…千年の痛みを抱えながら…」

そして、琴線に触れる 「愛する人を置き去りに」って言葉。

そうか、少年は大義のために愛する人を捨てる歌なんだなぁ、と思う。

 

 

誰がために酔いしれ

千年の痛みに耐えるの

 

夢の世界は涙に沈み

孤独に染まる

舞う雪に別れを嘆き

戻らぬ日々を思い出す

 

宿願を果たさずして

琴の音に魂は落ちゆく

少年は白き衣をまとい

 

愛する人を置き去りに

ため息と共に旅立てば

また眠れぬ夜が訪れる

 

誰ために少年は生き

最後の別れを告げるの

 

あなたと再び巡り会わぬよう

奇しき因縁を今世で断とう

 

 この詩を書いたのは、若い女性ミュージシャン。

中国は広いなぁ。

 

 作詞作曲、许诗茵

 

 

红颜醉 为谁

辗转千年痛心扉

梦一回 化作泪

单的凄美

纷飞 叹离别

风沙岁月不轮回

奈何夙愿难遂

悠悠琴声魂欲

 

你是谁的白衣少年

为何留恋人世间

一声叹息 一去不返

长衣凉不成眠

你是谁的白衣少年

刻下决别的断点

我情愿

此生不必繁华相见

 

若今生要道离别

擦肩掠过你容颜

一片痴情 一心所往

余温残留在指

 

若今生注定忘却

遗落寄情的红笺

我情愿

此生断了与你的缘

情愿

此生断了与你的缘

 

この恋は初めてだから

わたしは突然、ジホのモノローグに惹きつけられた。

ハスキーで柔らかい声が「ここは胸キュンポインじゃないけど…」とささやいていた。

綿矢りさを思い出したよ。 

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左からセヒ役( イ・ミンギ)とジホ。二人はシェアハウスの同居人。

 

ある日のこと、ジホは恋の予感に体がふわふわ浮いていました。

彼の柔らかい心に手を伸ばそうとしたジホは、突然、彼の冷酷な言葉に凍りつきます。

(台詞を書きたくても、わたしは衝撃と涙で忘れてしまいました。)

 

ところが、次の日の朝、テーブルに朝食が並んでおり…いそいそとジホが食事の支度をしています。

お箸とスプーンは、彼の席の方を向いています。

だから、彼は席について、お箸とスプーンをきちんと揃えて、待っていました。

無視です、ジホは彼にご飯をあげません。無視しました…。つまり徹底的な仕返しです。

わたしは嫌悪感でひっくり返りました。自分が傷ついていても、彼の様子が可哀想でご飯あげちゃうでしょ?ふつうぅ…。

 

ところが、びっくりしたことに!!!その後、彼は、彼女が怒っていることに気がつくんです!なんと、あやまるんですよねぇ。

自分が一線を引こうとした理由や、傷つけてしまった、って事をきちんと説明して、謝りました。

 

なるほど…。

おいらのように、適当に許してしまうと、男は、女が傷ついたことを無視して女を舐めるか、気がつかないか…だよなぁ、と。

 

ジホは最後にも彼の心を開くために徹底した事をやらかします。

「ジホはサイコだから。特別な感性だから」というようなエクスキューズもありましたが、いやはや。みんなはどう思うかなぁ?

 

 

 このドラマでは、30歳になる3人の女性が、恋愛、結婚、仕事といったそれぞれの道を進んでいく…。

 

30歳前後の女性たちの仕事や結婚に関わるトラブルを面白おかしく描いていた。

客観的な歴史書のように、優劣をつける事なく恋愛に邁進する女、仕事に生きる女、結婚を焦る女といったエピソーが並列している。

 

この脚本家はシリアスなものやりたいだろうな、と思って調べたら、米びつに閉じ込められる恐ろしいドラマの脚本家だった。

 

 

ドラマが香る

「 いやはや」と思う、じゃぶじゃぶと洗い物をしながら。

TVドラマとは?映画とは?って思いが廻る。どうしたって整理整頓をしたくなってくるってもんよ。

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TVドラマが楽しい。何故なのか?

 

特に中国や韓国ものは、小説や漫画を読む感覚で楽しんでいると思う。

 

TVドラマの根っこにあるのは、舞台劇と言っていいのじゃない?ドラマは、最初、生放送だった。

遠い昔、シェークスピアが書き上げた舞台劇を貴族も庶民も楽しんだ

 

であるなら、逆説的に、TVドラマは古くからあるものの変調、と言える。

 

 

 

しかし、映画は新しい。映画は映画なんだなぁ、と最近、思う。

 

モンタージュとカメラワークを駆使する、魔法の多様な映像群。時に芸術的だったり、スピード感のあるエンタメだったり、とても新しい分野だと思うし、可能性に富んでいる。