大宋少年志

「大宋少年志」はわたしにすれば、タイムリーなドラマだった。

スパイ養成学校、第7寮の少年少女たち6人は、「民の為」に戦争を阻止しようと動き出す。

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「民の為に戦争をしない」って理由には、「いいかげん、飽きるなぁ」と、アホな事を思っていたわたしは、ウクライナの破壊された家々の映像を見て「被害を受けるのは民なんだ」という台詞にようやっと実感を持った。なんて馬鹿なんだろ、わたし。

 

舞台は北宋の時代。日本では、平安時代にあたる。

この北宋時代は、しょっちゅう、時代劇の舞台になる。

今まで、貴族に独占されていた政治や文化を、庶民も享受するようになった時代だ。

科挙による庶民からの文官登用は大きい変化だ。とは言っても、東大トップ合格より難しそうな科挙に合格するには、豪商の子弟のように、小さい頃から、私塾に通わなければならず、実際には庶民には夢のまた夢だったろうと思う。

しかし、気分は、、平等という希望に満ちていたんじゃないかなぁ、、と思う。

活力に満ちた庶民と、武官を押しのけるようになった文官たちの政治は、北宋にすごい経済発展をもたらした、、んだと思う。

北宋は、「西夏」と「遼」という国々とやっと平和協定を結んだ。

しかし、「戦争をしたい者、したくない者」たちの、思惑や策謀が渦巻いていた。

 

このドラマはそういう時代背景と、自由闊達な空気感を使った、すごく上手い脚本だった。

軽いタッチで進むストーリー展開も、わたしは好きだった。

 

脚本ワン・ジュエン。

大好きな「慶余年」の脚本家だもんなぁ。

 

 

 

私だけのスーパースター

怒られたマー・スーチュンのふてぶてしい貌に、わたしはドキドキして、暗い地下道を前屈みで歩くダン、ルンの沈む足取りを、わたしは喜んだ。つまり、冒頭からの数シーンがめっちゃイイんだ。

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このドラマの内容を正しく伝えるポスターはコレ👇。

地方から北京に出てきて、悪戦苦闘している人々は地下部屋に住み、鼠族とか呼ばれているらしい。そうした人達と貧しい北京っ子たちのハートフルコメディなドラマ。

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☝️タクシー運転手の父、娘でマネージャーのマー・スーチュン、売れない役者のダンルン、芸能事務所の女社長。

 

んだのに、日本のポスターはコレ👇。でもね、この手の作品にも、良作がポコッポコッってある。当たりの時はうれしいよぉ!

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このドラマの舞台の半分以上は、中国風な長屋(たぶん、ほれ、あの毛沢東四合院住宅だと思う)みたいな、ところ。中国現代劇のほとんどは、ピッカピカのオシャレなロケーションだから、ついに「豊かではないもの」を映すようになったのか、と感慨深かった。

ただ、照明が凝っている、というか、変わってるなぁ、と思っていたら、なんと、セットだった。👇スタジオに長屋横丁を作っちゃったんだと。

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👇ダンルンの地下部屋も、セット!場末のアパートみたいに部屋が並んでいる。

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ともかく、マー・スーチュンとダン・ルンふたりの掛け合いや微妙な表情は、面白い。

女社長のパートは、飛ばした。もっと突っ張った女、イタイ女の設定だったら、興味がわいたかなぁ、と思う。

マーとダンを中心に見たので、20話未満、16話ぶんくらいを楽しんだ。

 

 

 

大奥(秘)物語

たぶん、この辺の時代は、まだまだ日本映画も面白かったはずだし、中国の宮廷劇と見比べるのも一興だと思った。

 

 

1967年、中島貞夫監督

藤純子(富司純子)、小川知子佐久間良子山田五十鈴岸田今日子

 

面白かったよ!

3話構成のミニドラマシリーズを、オムニバス映画にしてある感じ。全話にわたって登場する山田五十鈴が出来事を繋いでいる。

3つの出来事は、ヌーヴェルヴァーグっぽく、ぽんっって終わる。きっと影響受けたんだよね?

 

わたしは、とっても藤純子が気に入った。

なんていうか、先駆的な男前女子なんだよ。彼女はこのあと、女任侠物でブレイクした。

検索していて、めっちゃナルホドなぁ、って唸ったよ。

 

そそ、この映画は公開当時、成人指定だったん。映倫から、何回もダメだしされたらしい。

でも、エロくない!閨のむつごとなんて、いまや、お笑い!コメディみたいだった。

 

 

中国には、後宮の逸話がたくさん残されているんだろうな、とは思うけど、

日本で、とっくの昔に、宮廷劇の原点と言えるような映画が撮られていたんだなぁ。