ELLE(彼女)が、こわい。
ネタバレ注意
あらすじ
ゲーム会社のCEOを務める女性ミシェルは、ある日突然、自宅に侵入してきた覆面男に襲われてしまう。何事もなかったかのように今まで通りの生活を送ろうとするミシェルだったが、襲われた時の記憶がフラッシュバックするようになっていく。犯人が身近にいることに気づいたミシェルはその正体を突き止めようとするが、自分自身に潜んでいた欲望や衝動に突き動かされて思わぬ行動に出る。映画・com
ミシェルが10歳の時、彼女の父親は27人の隣人たちを殺した。
彼女がどれだけ苦しんできたかの描写はほとんどない。
昏睡している母親への独白(「どんなに苦しんだか、知らないでしょ」)と、
カフェでの見知らぬ女からの嫌がらせ。( 国中に彼女の写真が出回っている。小さい時からいまに至るまでの)、くらいだ。
私の結論を言えば、ミシェルに、父親の「負の部分」は伝わっていない、彼女は普通の女だと、思う。
ただ、
ミシェルはものすごく頭が良い。
ものすごい策略家だ。
側に寄っていけば、丸めて料理されそうだ。彼女は怖い。
で、以下、ミシェルの表情を私なりに読み込んでみる。
(ミシェルの周りの男たちはダメな男ばかり)
親友の夫ロベールは、
ミシェルから「もうあなたとは寝たくない」とまで言われてもつきまとう。
だから彼女は親友に告白する(ロベールを追い払うため)。
アンヌが自分を選ぶことは分かっていたと思う。
息子のヴァンサン、
彼が理解できなくて2回も見たのだ(なぜ、どのようにミシェルは息子を理解し、彼女共々むかい入れたのかが、解らなかった)。
ミシェルは「そうだったの。子供のためなのね。だから彼女をむかい入れたのね」と言う。
ヴァンサンは母と父によって傷ついた子供なのかもしれない。
そう思うと、「僕はいい父親になれたのに」と言うヴァンサンがとてもいじらしくなる。
(多分)アンヌから、不幸で気もそぞろの母について、「お母さんは産後鬱だったから」みたいな話を聞かされ、信じている5、6歳の可愛いヴァンサン、が思い浮かぶ。
隣家のパトリックとの関係。
ミシェルは、まるで「男の女遊び」のように、「男遊び」をしているだけだと思う。
彼女は抗HIV薬を飲んだことがあるようだった。一体、どんな危険な遊びをしたんだろ?
彼女は性欲がある限りは、これからも(男がするような)男遊びを続けるだろうと思う。
彼女の母親との関係。
(男がするような)男遊びをするミシェルは、だから、母親のロマンチックラブ(本人だけはそのつもり)が、いやでたまらない。
彼女は母を愛してたと思う。
ミシェルは好きな相手に対しては、お金をあげて、よく面倒を見ていると思う。ヴァンサン、母親、リシャール(女がいなかぎりは)。
ただ、あの母親はミシェルから小切手を受け取っても、ありがとうの一言もない。
つくしている(それが当然のことであっても)相手から感謝が返ってこないと、バカにされているように感じるもんです。
だから、「うそでしょ」「ほんとうに芝居じゃないんですか」ってのは、笑えない。
愛憎半ばする、ってやつで、「また、わたしの気を引いて面倒かけるのか」ということだけじゃない、憎しみがあると思う。
そしておしまいに、ミシェルはきっちりとパトリックを罠にかけてやっつけました。
でも、本当の悪人は、信心深いパトリックの妻だと思う。
夫の犯罪を知っていて、アーメンアーメンって…。
ものすごい偽善者。