たかが世界の終わり

 グザヴィエ作品としては、嫌いだ、というのが始めの感想。

 

 ネタバレ注意

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わたしは大声で怒鳴る男性がだめ。もうピューと逃げる。もうそこに居ない、わたし。

 

けれど時間が経ってきて、まあ、余裕が出てきて、結局、感想文を書くことにする。

 

お話は、家を出たきり戻ったことのないルイ(ギャスパー・ウリエル)が自分がもうすぐ死ぬということを知らせるために、12年ぶりに家族のもとを訪ねるというもの。

ルイは成功した作家で、家では兄のアントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)と妻のカトリーヌ(マリオン・コティヤール)、妹のシュザンヌ(レア・セドゥ)、母親のマルティーヌ(ナタリー・バイ)が待っていた。

 

 この映画は、意味深な会話と、顔の表情で成り立っている。

そして音楽の歌詞!

 

カトリーヌが「いつまで?」とルイに聞いた時、何となく「ゴドーを待ちながら」が浮かんだ。(あの有名な不条理劇の)。

 

家族は目の前にルイがいるにも関わらず、まるでルイが不在であるかのようにガンガン会話する。

つまり、妹を除く他の家族は、ルイの帰郷に対してそれぞれがなんらかの不安を抱いている。

それがあのヒステリックな会話になっているのだと思う。

 

こんな家族なら捨てて当然、と思うけど 、ルイはなんというか、家族を捨てきれない。最後のシーンで小鳥が家の中を逃げ回ったあげく、床に落ちて横たわっているのだけど、家族から逃げても、一生その呪縛からは解き放たれない、とでも語っているようだった。

 

この映画は人によっていろいろな解釈があるだろうなあ。