パディントン

とっても上質なファミリー向けコメディ映画。

 

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役者はイイし、美術も好きだし、VFXも「スチュアート・リトル」の頃に比べると格段に進歩してるし、笑いのセンスも好きです。

 

ダウントン・アビー」の伯爵がお父さん役なんですが、彼が可笑しい!(ほぼ、目だけで笑わせます)。

 

シーンに音楽を絡めて笑わせるのも、最高に可笑しかったです。

あと、パディントンがお父さんとお母さんの言い合いを集合煙突のような(通風孔を想像してください)穴越しに聞き耳を立てているシーンです。穴の中からしょんぼりしているパディントンが見えます。悲しいシーンなんですが、次の瞬間、パディントンは穴をパタンととじるんですねえ。(そこはかとなく可笑しいんです)。

 

いろんな仕掛けがあってそれぞれに面白いです。

 

古道具屋の主人がパディントンに言います。

「両親は戦火から逃がすために私を一人、遠いこの国に送り出したんだ。体はこの国に着いたけど、心が着くのには長い時間がかかったよ。」

そして、模型の列車の窓に黄色い灯がともり、車中にひとりの少年が見えます。

とても心に残るシーンでした。

 

 「トーチウッド」というTVドラマで似たようなシーンがあってやはり印象に残っています。名札をぶら下げた少年が暗い駅に一人ぽっちで取り残されている映像でした。(戦火が酷かったロンドンの人は、当時、相当切羽詰まっていたのか、あまり当てにもならない親戚などの元に子供だけを列車に乗せて疎開させました。今でも彼らの傷になっているのかなあ…。)

 

この映画では、名札をぶら下げたパディントンと、(昔の疎開させられた)名札をつけた少年達と重ねるように描き、そこに移民問題を絡めています。

 

パディントンは、ペルーにいた時からイギリスの習慣を勉強し英語も話せます。彼は、ことさら自分のルーツを強調しません。イギリスに溶け込もうとするんです。

 

 彼は最後に「俺はクマのパディントンだ」と言いますが、「俺は俺だ」というようなニュアンスに聞こえました。