「ブロークン・ポイント」は 舞台劇のような映画で、わたしはベン・ウィショー目当てで見ました。ちょっと…水中に居るような気分になる映画です。
出演者達が豪華で、ウイリアム・ハート、ジャン・レノ、ケイティ・ホームズ、アリソン・ジャニー、ジュリエット・ライランス、クリスチャン・カマルゴ(監督、脚本、出演)、 彼らのやり取りは濃密です。
ベン・ウィショー(エリック)の母親エリザベスは女優です。
彼女は、愛人の有名監督ピーターを伴って(二人は完全に倦怠期)、兄ハーブの鬱蒼とした林の中に建つ家へやってきました。
エリックは、母親たちに見せるため、恋人(未満)のエヴァと劇の練習に余念がありません。
夜に上演された(といっても観客は家族、友人だけですが)、野外舞台は美しくて、わたしなら大感激なんですが、母親は決して母の顔を見せず、女として、女優として息子の劇に批判的です。(ちょっと考えられない反応なのよ)
rおまけに、エリックが評価していない!有名監督であるピーターに女優志望のエヴァを奪われてしまいます。(エヴァはピーターに遊ばれるだろうことがムンムン)
母親の愛人ピーターと、息子の恋人のエヴァです。⬆️
(ピーターに嫉妬しているウィショーに向かってエヴァは「みっともないわよ」と言うんだけど、しどい!)
主軸は母親と愛人のピーター、そしてエリック(ウィショー)とエヴァなんだけど、ウィリアム・ハートを中心に色んな登場人物たちの心がすれ違います。
ケイティはエリックが好きなんだろうし、ドクターのジャンレノはエリザベスをずっと愛してきたんだろうなあ、という感じです。(それらはあくまでさり気なく…)
エリックは白頭鷲の巣に登っています。そのとき巣に戻って来た親鷲を誤って撃ってしまいました。
エリックは、その死んだ鳥をエヴァに差し出すのです。
この白頭鷲が象徴しているのは、ピュアな独立心…かなあ。
けれど、エリックが「生まれてくるんじゃない」と卵に言ったとき、すでに彼は「生きるべきか死ぬべきか」に、取り憑かれていたのかもしれないのです。
3年後、卵から孵った鷲はなんと家の中で飼われていました。
凛とした若鷲は止まり木に繋がれ、飼い慣らされつつあり、その姿が、大人になりかけたエリックの姿と重なります。
エリックは永遠に若者でいることを選んだのでしょうか?
(鷲にどういう意味を持たせるかで、エリックの苦悩の中味が変わってくるし、幽霊も台詞は幽霊だけど、服装や髪型をみると幽霊じゃないかも。
曖昧な物語は大好きなんだけど、この映画はちっと曖昧過ぎて…。
一番楽チンなのは、エリックは母と恋人を取り戻すためにピーターに戦いを挑んで敗北した、というものなんだけどね。そうすんと、意味深な鷲が邪魔だしねー。)
どうしたって、こうゆうことを考えるはめになる映画でしたっ。