ジュピターズ・ムーン

ヨーロッパの現実を描こうとしたハンガリー映画です。コーネル・ムンドルッツォ監督。

 

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ジュピターの月の一つの名前がエウロパでヨーロッパと語源が同じらしい。

この映画は寓話です。

 

シリアやその他からの難民がハンガリーに雪崩れ込んできます。 主人公の少年はシリアから父親と逃げてきました。

 彼を助けた医師(医療ミスにより、落ちぶれている)は、少年が浮遊するのを見ます。医師はなんと彼を金儲けに使おうとするんです。

 

浮遊シーンは、ほとんど、実際に役者さんをクレーンで吊ったらしい。CGは使っていないとか。背景も実写なんだって。

わたしはVFXが好きだけど、浮遊シーンはゆらゆらふわふわしていて、妙なリアル感がありました。

 

医師は、少年を連れて警備隊や警察から逃げ回っているうちに、だんだん心が変わってきます。

「空を見上げることを忘れていたよ」と。

 

屋上で少年が医師の頭に手を置いて、按手の儀のように癒しを与えるところは、やっぱり少年に超越的な何かを見てしまうシーンでした。

 

 

日本は難民を受け入れていませんが、もし、ヨーロッパ、この映画のハンガリーのように難民が何十万という人々が押し寄せてきら、どうなるんでしょう?

 

この映画のように、恐れと不安でヒステリックになるのでしょうか?しかし、それはもっともなことです。映画の中ですがテロも起きました。難民キャンプは人で溢れています。私たちは、安全でないと感じ、扇動的な難民排斥を訴える政治家に一票を投じるのでしょうか?

それとも映画の医師のように、少年と向き合い、たった一人ではあるけど彼を助けようとするのでしょうか?

 

医師のように空を見上げれば、心が広がるのを感じることができるかもしれませんね。