LOVELESS

アンドレ・ズビャギンツェフ監督。ロシア映画。2017年。

 

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左上の女の顔がちょん切れているでしょ?

わたしはこの女の顔を死んでも見たくありません!!!

…だってほんとに見たいくないんだ!!!

 

こほん。この映画はネグレクトのお話でした。精神的な虐待です。 

離婚寸前のこの夫婦は12歳の息子を引き取りたくありません。二人はどちらが息子を引き取るかで大喧嘩しています。

なんと、それをトイレのドアの陰で子供が聞いていました。

あり得ないことに、彼は声を押し殺して泣くんです。ベッドに戻ってからもなんとか声を抑えて慟哭しています。

ふつうというか、たぶんというか、おおよそというか、わたしが知っている子供って、泣きながら親の前に出るとか、そいう行動をとるような気がするし、鳴き声を押し殺す、という、これが信じられません…。(これがどれくらい凄い映像かというと、もうこの子は一生立ち直れないのではないか、とわたしは思いましたよ)。

 

 

まあ、わたしは、子供の慟哭を見せられた時点で可哀想で可哀想、不憫で不憫で、もう胸がギュウッっと絞り上げられた状態で、映画は朝を迎えます。母親に無視されたまま、子供はご飯が食べられない、と言い学校へ行きました。そして彼は失踪するのです。

 

この映画の優れているところは、これ以降、一切、子供を出さないところです。親との関係がどうだったとか、日本映画が根掘り葉掘りやりそうですけど、この映画、これしか見せません。

 

たった2本、ロシアの映像を見ただけですけど、なんというか、プロットの構造が面白いというか、つまり、物語が面白いんです!そう思います。(まあね、偉大なロシアの文学の歴史を思い浮かべているからかもしれませんけどね)。

 

ただ、そういう強烈な面白さを持ちながら、この映画でわたしは記録を更新しました。眠りに落ちる回数ですけどね。

 

冒頭から、わたしにとっては馴染み深い景色が広がります。

薄っすらと雪があり、木々も寒そうですが、川が凍っていませんので、温かいんだな、と思うわけです、だから春先か初冬かなと思って見ていたんですが、やはり、初冬でした。(実在の)ボランティア団体が子供の捜索を急ぎます。

本格的な冬がやってくれば、望みはないからです。私の地域ですらマイナス15、6度になるのに、モスクワは2、30度になるんじゃないでしょうか?

 

ロシアの女性は強い、というのを聞いたことがあるのですが、それにしても、夫との喧嘩のあの女のクソッタレぶりというのは前代未聞!!ほんと嫌いだ!

 

わたしは、「子供を愛しているけど、わたしにもわたしの人生があるのよ!」という女性たちに拍手を送ってきたのですが、このクソッタレ女に関しては、うーん、何故こうも不快なかよくわかりません。

 

 特にカメラがこの女の肢体をさも美しいかのように撮るんですが、んなもん、大した身体じゃないわあ!ちょっこと重量感のある身体してましたけど。

 

あと、なんか監督は「ロシアの結婚生活について見せたかった」みたいなことをおっしゃていて、まあねえ…確かにロシアは今急激に経済的に豊かになってきていて、若い人の間には野望というか虚栄というか、なにか監督の心に引っかかるものがあるんでしょうか?しかし、ロシアの結婚適齢期の若者達があの夫婦みたいな馬鹿者だとは限らないだろうと思う次第です。