パトリス・ルコント監督。2014年公開。シュテファン・ツヴァイク原作。
この映画は駄作である…。
ツヴァイク原作の作品だというので見たけど、ふぁーーーーっく!(普通はわたしは、途中で見るのやめるんだけど、我慢して最後まで見たん。オレ、えらい!)
「仕立て屋の恋」は素晴らしかったのに、ルコントさんはどないしたん?
ツヴァイクの小説は読んではいないけどね、容易に想像つくしょお?!
「グランド・ブダペスト・ホテル」を見た後なわけで。
戦争が迫っていて、文化的末期症状でデカダンスに陥っていた上流階級の人々。そこが舞台なわけでしょ?でもってそこに貧民出身の頭の良い青年が入っていく。
そこで、自分を取り立ててくれた社長夫人とフォーリンラヴなわけで。おまけに、このツヴァイクという作家は、あの「マリーアントワネット」の作者なわけで、人の心理のあやを彼なりの倫理観で辛辣に彩っていたはずで、モヒトツオマケに、ツヴァイクは、この時代に哀しい郷愁を持っていた。
つまり、「グランド・ブダペスト・ホテル」が背景にくっきりと歴史性を現したように、この映画だって、なんらかの歴史性、もしくは社会背景を浮き上がらせなければいけないはず。
それがさ、この映画ってのは、単なるオフィスラブなんだよ!しぇーーーっと!
日本のTVドラマのオフィスラブのほうがおもしろいつううの…。
ま、いいさ。監督は時代背景は恋の引き立て役、くらいにしか考えなかったのかもしんない。
この映画にはアラン・リックマンが出ている。もろ、彼だけがこの映画の救い!
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彼だけが時代を意識していたかの様だし、彼によって、 映画が成立している、ほとんど。
女性も振り向いた顔が雰囲気があって素敵なんだけど、致命的にリチャード・マッデンと合わない。
マッデンがメキシコに行って、いなくなってからの彼女が艶やかに美しい。ポンパドール風の髪型が似合わなかったのかも。マッデンがいなくなってからの彼女は、下の方で髪をまとめるスタイルで似合っていた。
それで、マッデンですよ…。
彼は、恩人の社長の奥さんと恋に落ちるにあたって、なんの逡巡も見せない!非常に現代的な青年である!
おまけに、彼は下宿の女中と関係があるんだけど、彼女に対して冷たい。それがまた、超現代的で魅了的なんだ。
女中はとても可愛くて、マッデンとお似合いで、なぜ、女中ではなく、奥さんに惹かれるのか、画面上では理解不能に陥る。
マッデン…マッテヨン、君は、ダイコンが好きか?
まね、つぶらな瞳で子犬っぽさは可愛いんだけど。
おいで、おいで、いらっしゃいマッデン。おやつにしましょ。しっぽを振る彼。…そんなかんじ。
やっぱもう一言。
二人の恋の駆け引きや揺れ動く心のあや、そういったものが何一つこれっぽちも表現されてはいなかった。 あっぱれ。