ロバート・アルトマン監督。 1977年作。
この映画を見た多くの人が、「引き込まれた。面白い。傑作。でも何が何だか分からない。」と言っているという、怪作。
出演は
シェリー・デュヴァル
ジャニス・ルール。
この映画の何が印象的だったか?わたしにとっては、あの絵、です。
妊婦のジャニスがプールに描いた、描いている絵!
恐ろしくてインパクトのある、なかなかにアーティスティックな絵です。
これらの壁画が、揺れる水槽越しに頻繁に現れてきます。わたしにとっては、もう、この絵が全てですねえ。
この映画のキャッチコピーがポスターに載っていました。
1 femme devient 2
2 femmes deviennent 3
3 femmes deviennent 1
一人の女性が二人になる
二人の女性が三人になる
三人の女性が一人になる
わたしは、人物ではなく絵が強烈だったので、このキャッチコピーに則って、辻褄合わせをしてみました。
三人が一人になる、ということは、この映画はつまり、ウィリーが絵を描きながら見た白昼夢なんだと思います。
彼女は、まず、ピンキーというキャラを作り出し、彼女が憧れるミリーを作ります。
そいて、陣痛のときに、幻想の二人が駆けつてけてきますが、実際は、彼女はひとりだったのではないかと。
彼女が生んだ男の子は死産でした。これは、夫殺しのメタファーではないかなあ、と思います。
そして、彼女の白昼夢では、ミリーとピンキーが夫と関係しています。つまり、近親相姦てきな兆しがあったのではないかと。
ラストで、ウィリーの幻想の二人は消え、現実の二人がいます。だから、ウィリーは一人に戻ったわけです。女三世代ですよね、わたしはそう思いました。
ピンキーはいつも揺らめく壁画に囚われていました。
だから、彼女の祖母と母は、彼女の父であり祖父を殺した、なんてことも思いましたけど、鬱陶しいいのでやめました。
あと、幻想にしろ何にしろ、人物のキャラが面白いので、その感想も。
ピンキーは憧れのミリーを見つめ続けて、行動がミリーとソックリになったりします。こういう女性、いるんですよねえ。
そして、この時のピンキーが力強いんですよね。ミリーが受けにまわるからかもしれないけど。
あ、ピンキーの両親というのが病院に出てくるんですが、ピンキーが20才くらいだとすると、あの母親は、50代、60代で妊娠したことになります。なんせ、70はゆうに超えていそうな両親なんです。
で、ミリーですけど、独り言をずううと言ってるんです。でも気にならないトーンで、邪魔にならない、というか。
たまにいるんです、スーパーでみかけます。独り言をブツブツ言っている女性。家族は気がついていないのかなあ、といつも思います。
まあ、何せ、わたしはラストが好きです。幸せそうだと思いましたもん。