トーマス・アルフレッドソン監督。 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト原作、脚本。出演カーレ・へーデブラント、リーナ・レアンデション。2008年。
トーマス・アルフレッドソン監督のスウェーデン映画。
これは吸血鬼の映画です。
ストックホルムに住む12歳の少年オスカーとエリという少女の出会いのお話し。
オープニングがイカしてます。黒い画面に流れる白色の名前を見ていると、横半分に夜の雪が舞い始めます。
目眩がしてくるような本物の雪です。
金髪のオスカー少年とエリ
雪に覆われた住宅地と学校が舞台なのですが、寒々しい雪景色が、子供たちの凍りついた心を表現していきます。
エリの愛は、流れる毒々しい赤色の血、という対比。それが哀しい。
「祇園の姉妹」という映画があります。
ラスト、雪が舞い散るんですが、素晴らしいんです!
なんていうか、映像というものが勝利した瞬間?
「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」と書かれていようが、名曲が歌われようが、小説や音楽が惹起する人の想像力に祇園の雪は勝利します。
が、この映画の雪の映像は、リアルに徹することによって、リアルな現代の一風景を映し出します。
北国の人が持っているだろう雪のイメージ、感覚がそのまま映し出されていました。
あくまで現実的な雪景色と吸血鬼…この対比がオスカーやエリの凍てつく心象風景を補完します。(北国じゃない人はどう見たんでしょうねえ?)
エリの瞳は美しいんです。クローズアップされる彼女の曖昧な色の目、グレーに見えたりブルーがかって見えたり…誘惑の瞳そのもの。
オスカーオスカー、ああ、オスカー!
オスカーはわかっていたはずです。エリのおじさんがどういう存在だったのか。
血のついた唇でエリはキスをしました。
「私を受け入れて…」