ザ・ディスカバリー、うすい色の海

チャーリー・マクダウェル監督、2017年。 出演ジェイソン・シーゲルルーニー・マーラ

 Netflix配信映画

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マーラとシーゲル

 

 だ、駄作…とは、言い切れない何かがこの映画にはある…かも。

 

それは、マーラが漂わせている聖母マリアのような風情と、シーゲルが発散するルサンチマン

 

あらすじ

科学者である父親が証明した死後の世界の存在は、大量の自殺者を生んだ。それでもなお研究を続ける父に反発する息子は、1人の女性と出会い恋に落ちるが…。Netflix

 

フェリーの中のマーラはシーゲルと普通に話しているのだけど、彼女の横顔が、儚げで寂しそうに写る。

 

そして砂浜での彼女は、ゴツンと体をシーゲルに寄せて、彼の肩にもたれかかるのだけど、子供を亡くした母親の寄る辺なさが風にのってわたしに届く。

 

しかし、本来この映画はロマンスを想定していたと思うのだけど、ここで、彼女を一途に思う青年は現れない。シーゲルだもん…。

 

シーゲルはといえば、映画のかなりの尺を使って、母親の自殺とその原因の父親に執着している様が示されたと思う。

鬱陶しいなあ、と思うほど、父親に逆らったり、邪魔をしたりする。

 

ぶっちゃけ、この映画は死後の世界はある、と言い切る。たぶん、多元宇宙論なんだろうと思う。死後、意識が多元宇宙に…飛ぶらしい。

ほぼ、大人のメルヘンかと思う。

最後の方で、種明かしがあるのだけど、全部が、シーゲルの臨死体験(フラット・ライナーズみたいな事を繰り返していたらしい)のだけど、にしては、映画の視点がおかしいんだよねえ。

薄い色の海や水色の空。靄がかかったような雰囲気の映像は好きなんだけど…。

 

シーゲルは5歳の時に死にかけて、臨死体験をしている。その時、小さい子供が見えた、と言うのだけど、ラスト、彼の顔に浮かんだのは、「俺は、あの時、この子供(オリバー)を見たのだ」という思いであってほしい。

恋のためというより、母親の自殺(発見したのは彼)に対するトラウマが彼の行為を駆動したのだと思いたい。

つまりさ、彼がやっと彼女に会えたんだ、つうハッピーエンドならね、この映画は駄作。