お父さんの庭

わたしの小さい芝刈機は有能だ。 

 蔓延っている雑草も刈られると、爽やかな草地になる。

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 ひよさんのレシピで仕込んだ梅酒。

(梅酒ゼリーを作るのが目的なので、氷砂糖は多め。塩味を効かせたゼリーは夏場に美味しいのよ!)

 

 

もとい

ウチの庭は亡くなった父が作った庭。それをわたしが引き継いで世話をしている。

実を言うと庭は山の上にもある。ここより広い。

父が亡くなった後、わたしはそこに一歩も足を踏み入れていない。

Rによると、人の手が入らようになって久しい其処は、自然に帰ってるそうだ。鹿の庭になってるよ、と。

 

で、其処のことを考えると、わたしはチクチクと罪悪感に苛まれる。

 

 父は孫たちが喜ぶからと、松を亀やキリンの形に剪定していた。

彼は庭仕事を楽しんでいた。

脳梗塞で倒れたとき、(わたしはその頃は働いていて目が回るほど忙しかったが)、父を連れてリハビリに通った。

わたしが買ったステッキを持って、お気に入りのチェックのマフラーをした父との時間がわたしは楽しかった。

 

それから数年後、父は、わたしと母がキッチンで夕飯の支度をしているときに亡くなった。

父のベッドは、キッチンから首を伸ばして振り返れば見える位置に置いてあった。

わたしは、10分くらい前だろうか、父のベッドに様子を見に行って、そのとき、父がとてもとても澄んだ目をしていて、「どうしたのぉ?お父さん?」と言ったのだけど、彼は、何か言いたそうにした後、微笑んだ。

 

そして母が父のところに行った時には、もう死んでいた。