ネッド・ベンソン監督、脚本。 2014年。
ネタバレ注意!
この映画は、子供を亡くした夫婦の物語。
むかーし、何かの本で、子供を亡くした夫婦は離婚率が高い、という統計を見た。
原題は「The Disappearance of Eleanor Rigby」、エレノア リグビーの失踪。
同じ物語を視点を変えて撮ってある。2作品同時に公開された。
「The Disappearance of Eleanor Rigby:her」
「ラブストーリーズ、エリナーの愛情」という妻視点の映画と、
「The Disappearance of Eleanor Rigby:him」
「ラブストーリーズ、コナーの涙」という夫視点の映画。
例によって原題を見て、映画の(謎を追う)作りに納得する。
何故、エリナー(エレノアリグビー)は失踪したのか、その理由と再生の物語になっている。
鬱々と暗い映画じゃないよ。
わたしは「エリナーの愛情」を見て「コナーの涙」を見たから、コナーの方はちょっと退屈だった。
「エリナーの愛情」の印象は、チャステイン、イイっ!!!コナー、馬鹿。
つうわけで、チャステイン(エリナー役)がムッチャ魅力的!
チャステインの母親役がイザベル・ユペールで、フランスとのハーフという設定だから、だと思うけど、チャステインは小粋なパリジェンヌ風!!
父親と駅のホームで。
赤毛にとても合う黒っぽいアイシャドーとアイラインのブラックがめっちゃイイっ!!ファッションもかわいい!!
わたし、若かったら、絶対、このヘアースタイル、マネしてるわぁ。
うん。チャステインは今までの生活から逃げ出して実家に戻る。
教授である父親と、音楽家だったけど子供が生まれてキャリアを捨てた母親から、彼女は復学することを勧められる。
チャステインは妊娠して大学を中退していた。
この両親は正しい。自分らしさを取り戻すために、とても良い方法だと思う。
コナーは、彼女が自分らしさを取り戻すことが必要だということがわからない。
「復学したのか?」
まあ、この一言と、彼の表情を見て、あらあ、この人は、わからないんだぁ、とおもわされるわけよ。短いショットなんだけど。
チャステインと父親が大学へ通勤通学するために駅で一緒にいる時の様子が、パアーッと日差しに満ちていて、とても好き。
終盤、父親から、男親だって苦しみは女親と同じだという話をされる。まあ、かいつまんで言えば。
チャステインの表情がイイんだわぁ。
そして、チャステインの母親のユペール!いやはや、印象的過ぎる。
ほぼ、アル中に近い。片時もワイングラスを手放さない。
娘に向かって、あなたを愛しているけど、私は良い母親じゃなかった、と言う。
チャステインの「わかってるんだ」みたいな、複雑で多少の凄みがある顔も、ユペールって楽々とかわしていく…。
頭が良くて、節度も保っている、けれど、彼女自身はほぼ崩壊しかけている、ような母親の役を、呑気にとぼけて飄々と演じている…。
どっひゃー!です。