ぽろぽろと涙がこぼれた。冷やし中華を食べていたんだ。Rと。
好きな具をいっぱい乗っけて食べる。
錦糸卵、キュウリ、トマト、ハム、キウイ、牛肉のそぼろ煮、胡麻、等々。
あとは、揚げ物を作ってある。
彼は「食べきれないね」と言う。
TVがついていた。
戦争孤児の話だった。余裕のない当時の大人たちは、孤児たちを助けることができなかった。蔑んだり、邪魔者扱いだった。
また、空襲の中、若い母親は赤ちゃんを背中にオンブして逃げまどった。
やっと避難所にたどり着いて、赤ちゃんを見ると死んでいた。
こうした話を、老人たちが語っている取材番組なのだった。
そして、赤ちゃんの話をしていた老女は、話せなくなった。
わたしは気がついたら涙がぽろんと落ちていて、RはTVを消した。
戦争は、国益、利権の衝突だ。
そこに、愛国心、倫理観、正義といったものが絡んでいく。
これらは感情なんだと思う、倫理観も信念も正義感も愛国心も。
それらの感情が、国というまとまりを作るとき、利害の衝突は戦争をまねいてしまうだろう。
愛国心が外部に敵対的なものを仮想しかねないこと、正義は一つではないこと、人は知っている。国家間の大戦争はさすがに今、起きずらくなっているのかもしれない。
現在、紛争やテロに絡め取られているのは、赤裸々で直接的な不公平感なのかもしれない。
不思議だ。
きっと、個々人はみんな良い人だ。
けれど、紛争、テロがあり、今も殺し合っている。