Rはとんでもないとこに鞄を置く。
キチンと収納場所に置いて欲しいのよ、わたしは。
「ここに鞄を置かないでっ。」
「はい。」
次の日にみると、そこから40センチほど離れた場所に、鞄が置いてあった…。
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18歳の時、Rのアパートに始めて泊まった。
目を覚まして布団のなかでノビをしていたわたしに彼は、「朝食、作ってあげる」と言った。
彼は、食パンをトースターに入れた。パンが焦げていくわくわくする匂い。最高にお腹が空いている。
彼はこんがり焼きあがったパンにマーガリンをたっぷり塗り、その上にイチゴジャムもたっぷり塗った。
さっきから沸騰してたヤカンの火を止め、ティーバッグの紅茶をいれた。
「できたよ!」
彼の顔は輝いていた、と思う。
「これだけ?」
「コンチネンタル・スタイル。美味しいよ。」
確かに美味しかったのだ。香ばしいパンとイチゴジャムは素晴らしく合っていた。
Rが料理?をわたしのためにしてくれたのは後にも先にもこの一度きりになった。
彼は、料理をするわたしを発見したのだ。
あまりそういう事が出来るように見えなかったらしい。
ちょっと失敗しちゃったなぁ、と後で思ったよ。