むかし、とても立派な装丁のイタリア料理の本を買った。やけにテキストばかりが目についたが、わたしは気にしなかった。
けれどその本がほとんど料理家のエッセイで、レシピは申し訳程度にしか載っていないことに気がついた時は家の中だし、本を睨みつけているわたしは単なる粗忽者である。
その数少ないレシピの中に『鶏肉の魔女風』というものがあった。
めちゃくちゃ簡単な調理法なのに、めちゃくちゃ美味しいのだ。
もも肉、できれば骨付き、を広げて平らにならし、ぬるま湯で綺麗に洗う。水気を完全に拭き取る。
これにニンニクのみじん切りをなすりつけ、塩胡椒する。オレガノやローズマリーをふる。アルミホイルで包み、ホイルの上は開けておく。
そしてガス台のグリルで、美味しそうな焼き色がつくまでじっくり焼き上げる。
すでに香ばしい良い匂いが部屋中にただよっている。
熱々に好みでレモンをかけていただく。
ふくふくとした香ばしいコクが口の中に広がる。
クリスマスによく作る料理で、手間がかからず、焼いている間に他の料理もできる。