美しく色があふれて、きらびやかな、そして切ない映画でした。
染谷将太、ホアン・シュアン、チャン・ロンロン。
せいこちゃんのレビューを読んで👇、矢も盾も堪らず見ました!
この映画を見ようと思う人は、せいこちゃんのブログへどうぞ。
以下は、この映画を見ないだろう人向けにネタバレありで、わたしの感想を書きます。
空海は『長恨歌』を完成させたばかりの白楽天と知り合います。 『長恨歌』は玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を綴った詩です。
実はその長恨歌が引き金となって、空海と白楽天の周りで不思議な殺人事件が起こることになります。二人は協力しあって、これらの事件を紐解いていくのです。
高名な空海と白楽天は、この映画ではトリックスターの役割です。
二人でひと組という感じで、もっすごく魅力的なキャラになっています。わたしはせいこちゃんの言いつけを守って、字幕で見ました。もうもう最高でしたよ!
歴史ファンタジーミステリーとでも言うべき、この映画は実は、切ない愛の物語です。
白龍と丹龍という妖術使いの二人が出てくるんですが、この白龍が隠れた主役なんです。最後の最後にそれがわかった時は、もっ…切なさ全開です。
この脚本は、粋なんですよねぇ。
監督としては、長恨歌のよく言われる政治風刺的なものではなく、コッキリ愛の物語に舵を切り、構想10年と言われていますが、脚本もなんども練り直しただろうそれは、粋を選んだ、そういう感じです。
つまり、見終わってから、「ああ、そうか」とひざを打つ感じです。
だから、普通なら描かれるだろう平穏な頃の、白龍の深い愛を暗示するエピソードや丹龍との絆の深さを物語るエピが省かれています。
単に、白楽天に「長恨歌は白龍が書いた」と言わせてしまうだけです。
最初に、怨念で狂った黒猫が出現するミステリーでもあるので、その絡みのせいで、愛のエピを見せるわけにいかなかったのかもしれませんけど。やはり、白龍が何故、楊貴妃に執着するのか、鑑賞中は説得力を持って迫ってこないんです。
それは最後までそうで、平穏だった頃、昼寝をしている白龍をかすめて一枚の絵が、ひらひら落ちてきます。白龍の手から絵が滑り落ちるのなら、分かり易いですよ。けれど監督は粋を選ぶ…。
この一枚の絵がラストシーンなのですが、楊貴妃の後ろ姿が描かれています。
その絵に…黒猫が、黒猫が楊貴妃に抱きしめられるんです。…見た人は涙です。
エンディングの歌の歌詞もものすごく良いです。
あと、この映画は、セットでファンタジー映画を撮っちゃったんです。CGは最小限で。
完成された絵画の連続のような、不思議なリアリティーの欠如が、なんとも言えず、快感というか、心地良いのです。
セットを作るのに6年かかったそうです。