地下から出たジョエルは、老人と少女に出会った。
世界は巨大生物に蹂躙され、人口の95%が失われていた。
Netflix2020年、マイケル・マシューズ監督
ブライアン・ダッフィールド原案、脚本
次から次とモンスターに襲われ、リズミカルで軽妙な映画だったけど、寓話っぽさもある。
「ぼくは地下で暮らしている。想像していた大学生活に似ているかな?」とジョエルは語り始める。相部屋の男は女の子をベッドに連れ込んでいた。その間近までカメラは入り込む。
カメラが観客の目線なら、ジョエルにピタッとくっ付いてスマホで撮ってる感覚が、映像にある。
似てはいないんだけど、気弱なジャン・ポール・ベルモンドみたいな粋な感じが、ジョエルのモノローグにはある。
ヌーヴェルヴァーグ風?ドキュメンタリー風、に撮っている映像は、等身大の若者の姿を捉えていて…リアルなんかなぁ?とても好ましい。
ジョエルと少女👇
ジョエルは、17歳の時以来、7年間、外に出ていない。
武器を構えているのに、フリーズしてモンスターに喰われかけるほどのトラウマを彼は抱えていた。
彼にとって外は「外=モンスター」という訳の分からない恐怖の塊そのもの。
その彼が、130キロ離れたコロニーで暮らしているガールフレンドに会う為に、外に出る。
恋バナは単に引き金に過ぎなくて、主眼は、ジョエルの変容にある。
ジョエルは旅の途中で、賢人と少女に出会う。
まぁね、ユングを思い出すしょぉ。
ジョエルは「外に対するイメージが変わったよ」と出会った犬に呟いた。
少しずつ、認識が変容していくのだ。
モンスターは一様ではない、と気がついていく。
彼を閉じ込めていた心のなかに新たなイメージが入って来る。
それは、トラウマの克服であり、彼は、まだまだ弱気だけど、モンスターに襲われたら、ちゃんと、動けるようになった。
「外は、そりゃあ怖いけど、なんとかなる!」
最後にジョエルは胸を張った。
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ホントは犬のボーイのことを書きたかったんだ。
ネットの感想には、「B級映画ぽい、とか成長物語」で括ったものが多かった。