宸汐縁 運命の桃花/チャン・チェン

どうしようもなく、心が離れてしまう。いったい何遍、視聴を中断しただろう?

いよいよ見るものが無くなって、再チャレンジしたところ、わたしは60話を見終わって感動していた。

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2019年、主演チャン・チェンとニー・ニー。

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 このドラマは、胸キュン!ラブ史劇の体裁を取っている。神仙(神さま)たちの愛の物語だ。

 主役のチャンチェンは、生まれてこのかた、恋も愛とも無縁、仕事一筋の偉大な戦神さま!

まず、彼は顔が怖い!わたしの苦手な顔!そして、年寄り!

おまけに少女時代を演じるニーニーはキャピキャピしているし、無駄にフワバフとした衣装にもうんざりする。

何故、若者を主役にしなかったのか、首を傾げながら、視聴を何遍も挫折していた!

 

そいで今回、鬱陶しいところを飛ばしながら見ていると、人間界でのお話になった。

わたしの印象がドンドンひっくり返る。

「チャンチェン?信心深い娘っ子でも彼には当然、転ぶよね。素敵だ。。」

「ニーニー?シックな衣装をなんてシックに着こなすんだしょ!」

 

 チャンチェンという人は、 27年間、映画俳優だった。これがドラマ初出演。

 映画畑の俳優に多いと思うけど、彼の演技は記号的だ。

つまり、彼のアップショット(感情表現)は、鏡のようなんだ。観客はそこに自分の揺れる心を見い出し、演出や風景が凝縮され鏡に写し出される。

 

 物語も終わりに近づいたころ、わたしはやっと、理解した。

このドラマは、ラブ史劇には違いないけれど、胸キュンドラマではない。

男の深い愛が描かれていた。

男は黙って女を守り、黙って愛に耐えた。

この「黙って」ってのは、男の心の深さであり、チャンチェンのアップショットのことでもある。

ブコメ物で、わたしはこんな愛を見たことがない。

チャンチェンにしか表現出来ないだろう。ドラマ制作陣の慧眼である。イケメン若者では単に「可哀想な犠牲」にしかならないだろう。

 

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チャン・チェンって、窒息しそうな時代の空気感を映像だけで表現したあの傑作「牯嶺街少年殺人事件」の少年だった。「おじさん大丈夫?」という闇の中の少年らしい声が忘れられない。