エカチェリーナの時々真実の物語

頭が良くて…どこか肝の据わった女の子の結婚相手は、とんでもない男だった。さあ、いったい彼女はどうする?

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というプロットを、18世紀の女帝、エカテリーナ2世のクーデターに寄せて綴った、下ネタ満載のコメディ。

 

ーーー2020年、Hulu制作、アメリ

エル・ファニングニコラス・ホルト主演

トニー・マクナマラ脚本

Amazonプライムで視聴ーーー

 

わたしは、メタファーを意識することはほぼない。メタファーで物事を理解しているらしいのに。昔、アメドラの中で「あの映画のあれは、メタファーだ」と、普通の高校生同士が話すのを見て、ビックリした。英語圏のドラマって、何かお家芸的にメタファーをうまく使うなぁと、思う。

 

このドラマのメタフォリカルな映像表現は、綺麗だ。

 

ブランコに乗っている少女は、友達の意地悪を意に介さない。代わりに、輝くような笑顔で「あたし結婚するの。ロシアの皇后になるの」と答えた。

この短いシーンの映像は、たくさんの情報を理解させるのだ。

 

ロシアの宮殿の一室で、彼女は寝支度をしている。

世話を命じられた侍女は「今夜、何をするか、、分かっていますか?」と心配そうな顔で聞いた。

「大丈夫、よく分かっている。母から教わったわ。」

夢見心地な瞳はキラキラと揺れ、彼女はかなり長くポエムを語り出すのだが、要約すると、つまり、2人はめくるめくようなエクスタシーで溶けて、朝、目覚めると、愛がノックする。。

いやいや、初夜で、そんな上手くいくのはまれだろう、と思って見ていると、、皇帝である夫がせわしなくやって来た。

いきなりのピストン運動を終えると、夫は妻を捨て置いたまま、さっさと去った。。

ベッドの上に捨て置かれた彼女が写る。彼女は目を閉じた。

朝日がまつ毛を揺らした。カメラが引くと、彼女は一晩中、同じ姿勢でいたことが分かる。

ベッドを降りた彼女は、頭を振り、笑顔を見せる。

 

可哀想で、胸がチクチクするものの、思わず呟いちゃったよ。

「上手い!」

ね?見た人、そう思うしょ?

 

ただ、夫を、もうちょっとキレ者に設定出来たら、丁々発止とやり合う2人は、最高だったろうな、と思う。

 

夫は母親に傷つけられた子供という、現代的な設定になっている。

彼の時代の貴族は、子育てをしなかった、初乳さえ、あげない。たまに会う親が、優しく子供に接すれば、子供は優しい親だったと感じる程度だったのではないか、とわたしは思う。

 

「子供には母親の愛情が必要」と喧伝され始めたのは、18世紀後半くらいからだったと思う。

現代では、「両親の愛情」は常識になっている。そう言えない時代もあったわけだ。

たぶん、人には、小さい者や弱い者を守ろうとしたり、可愛いと感じる、習性?本能?があると思う。遺伝的繋がりを持つ場合は、更に強固だ。利己的な遺伝子

ただ、、それは愛情か?と言うと、、違うだろうと思う。

子供と一緒に暮らすうちに、親の愛情も育っていくものだと考える。

 

現在は、「親の愛情」の理想形に、親も子供も振り回されるような時代だ。

 

史実のエカテリーナ2世は、子供に冷たい人で、赤ん坊を田舎に隔離してたかとおもうと、挙句は外国に追いやったりしている。

 

ドラマS2ではここら辺をどう描くのか描かないのか、わたしは興味津々。

なんたってエルファニングは天使に見える。