冬の灯り

雪には意味があるはずだった。

 

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氷の国からやって来た人が、風を撫でるように腕を広げた。

たちまち、空気中の水蒸気は凍りついて光る粒となった。

 

記憶を奪う雪が降ってくる。

 

真っ白い世界には、何も無かった。

 

雪を透かすようにして、光の粒が見えた。

きっとわたしが帰る場所だ。