かなり……このドラマに耽溺した。
中国では、耽美的と言ったら、BLのことを指すけど、
このドラマの前編は、大袈裟に言えば、
谷崎潤一郎的な耽美主義で色どられているんだ。
左から、顔淡と応淵。
応淵は、高位の神仙、何万年もの間、仕事一筋の冷淡で厳格な男だった。
その男が、囲碁の天才少女、顔淡に興味を持った。
彼は、顔淡の能力を育ててみたいと思うのだ。
男の顔淡に対する隠された溺愛は、こっから始まる。。
なにせ天界は、恋愛禁止のきつい縛りがある。
彼の密かな愛情は、彼の無表情と、顔淡に対する厳しい態度で、誰にも顔淡にも気づかれない。
ある日、応淵は、罰として、規則の写書を顔淡に命じた。
厳し過ぎたかと、応淵は、顔淡の様子を見にきた。
彼女は、散らした紙片の上に、子供のようにひっくり返って寝入っている。
彼は、彼女を抱き上げ、寝台に運び、そして、愛おしそうに彼女の頬についた墨を指で拭ってやる。何遍も何遍も優しく拭った。
こうして、応淵の愛は、視聴者にだけ始めて明かされる。
このシーン、好きだよ。
もうひとつ、好きなのは、上の写真のシーン。
毒に冒されて死にかけている応淵に、顔淡は口から仙気を送っている。薬酒のせいで夢の中にいる彼は、乱暴に顔淡を引き寄せて口づけをした。
たかだかキスシーンなのに、曝け出された彼の本音からエロチシズムが香る。
この時、顔淡は、始めて自分の愛に気がついた。
この夢うつつの出来事を除けば、その後も応淵は、彼女にいっさい愛を打ちけない。
彼から、火刑を言い渡された彼女は大失恋だし、「綺麗さっぱり、あなたのことなんて忘れてやる!」と、彼女に吐き捨てられる。
だから、一見、彼はサドっぽいんだけど、実は、わたしに言わせれば、彼の愛はマゾヒステックなん。
顔淡ことヤンズーの純情は、男の応淵の色気を際立たせる。分かる人には分かる、……エロスを、わたしはすんごく楽しんだ。
前編は、2人の愛に酔いしれ、わたしはいそいそと、後編へ。
ところが、後編は、天界の陰謀を暴く、探偵物仕立て。。
各エピソードは面白いのだけど、わたしは、2人の濃厚だった愛の行く末にしか興味を持てなくなっていて、飛ばし飛ばし見ることになってしまった。
あまつさえ、自由闊達だった顔淡は、責任や義務に目覚めるという成長を見せ、応淵を諭したりする。
いやはや、これがほんとに脚本家のやりたかったことなの?