knoriのブログ

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ザ・クラウン

昔に読んだ本に、こう書いてあった。

天皇は半神半人である」と。

著者の意図とは違っただろうけど、わたしは、それを読んでものすごく皇室の人々に同情した。「彼等には、ほぼ人権がない」と思ったのだ。わたしなら、頭が変になると思った。

97.8年ごろ、わたしは、そのことをネットに書いた。そうすると「帝王教育を受けるので、心配いらない」という返事があった。

その時、たぶんわたしは、安心したと思う。

ところが、それから二十数年もたって、英国王室を描いた、この「ザ・クラウン」というドラマを見て、わたしは仰天していた。

 

実は、ダイアナ目当てで、シーズン3から見始めた。

軽い気持ちで見ていると、若いチャールズ皇太子が、苦悩していた。

彼は、スコットランドに来て、始めて、庶民の生活に触れた。彼は長いこと海岸に佇んでいる。夕暮れの中、その後ろ姿から、渇望と苦悩が伝わってきた。

わたしは、思わず立ち上がった。座っていられなかったのだ。

そして、慌てて、シーズン1から見直した。

英王室のメンバーは軒並み、自由の無さに苦しんでいた。

 

英国は、立憲君主制だ。日本もほぼほぼ、立憲君主制である。

エリザベス女王は少女の頃、イートン校の教授から憲法について教えを受けた。教授とエリザベスのやり取りが面白い。

 

「政府は有権者に忠誠を尽くし、決定には有権者の承認が必要。

では、君主が忠誠を尽くす相手は、、?」

「…神?」

「そう、エリザベス。君主が忠誠を尽くす相手は、神だけです」

 

これは、たぶん、立憲君主制は、「選挙で君主を選ばない」ということだ、と思う。

選挙で君主を選ぶことは、恣意的な君主を生む可能性がある。

ヘーゲルは、「君主の能力は問わない。必要なのは、君主の世襲制と厳粛さ」と言ったはず。

厳粛さとは、君主の神格化であり、君主は、諾として政府に正当性を与える。

 

この「ザ・クラウン」は、有名なエピソードを綴りながら、王室が果たしている役割、その困難さに光を当てたドラマだった。

まぁ、物語ではあるものの、立憲君主制が消滅していくとしたら、それは君主の側から起こるんだろうな、と、思った。