スキー場にあるホテルなんだ。


「うっわ、あのコース,滑りたいな。」
スキーをやめてから,何年も経つ。
でも,身体はウズウズして、錆びついた足腰の筋肉は,イメトレするときのように一瞬,緊張した。
しかーし、わたしは、ここへのんびりするために来た。

ゲレンデの下にはレストランやショップが立ち並んでいる。多分、冬場は、滑り降りて、そのまま、レストラン街へ行けるんだと思う。
でも、今、わたしは、ここを散歩しながら、カフェで、ドローーーンとしていたい。。
ところがぁ、このリゾートってね、夏場でも、ものすごくアウトドア派向けだったんよ。
し、しかたがないので、何十種類もあるイベントの中から、ハイキング程度だという山登りを選択してみた。
あのね。
2度と登るもんか、って思ったよ。ヘロヘロだよ。
山頂には、空に張り出すようにして、いくつかの遊具が置かれていた。
「面白そう!」

も、体力なし。
夕食は、イタリアンにした。
わたしと、上の息子は、「美味しいね」と言いながら食べてるのに、下の子は浮かぬ顔をしていた。
好きじゃない、と言う。
「ああ。Rも、この味は嫌いだわ。ん?
お前たちは、わたしやRと似てないと思ってた、味の好みとか、、。」
「そう言えば、だんだん親に似てくるっていう行動遺伝学の最新データがあったな。」
「それって、環境要素と遺伝と、半々だって言われてたじゃん。なんだか、鬱陶しいデータだねぇ。」
帰りの車中は、好きな曲をかけて、のんびり帰ってきた。
「この歌手ってね、すんごく不運でね、、ブレイクしたのは30過ぎで、、、」
「僕ね、そういう苦労話って聞きたくない!」
「だって、何故、もっと前じゃなかったのか、そこ、不思議になるしょぉ!」
黙って聞いていた下の子が、ポツリと呟くように言った。
「昨日の夜、もう寝かけているのに、兄貴は、〇〇という歌手が如何に苦労したか、って話を、1時間以上も喋ってた。。」
「うっ…」
「あ!実例!」「遺伝率の話!」
下の子の絶妙な切り返しと遺伝の話が被さって、なんとも可笑しくて、わたしは笑いこけた。