奇跡

是枝裕和監督作品(2011年)。

 

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 いきなり画面に樹木希林(祖母)が割り込んでくる。

大塚寧々(母親)は、離れて暮らす息子の龍之介(前田旺志郎)に電話をかけていて泣き出してしまったのだ。

 その彼女から祖母は受話器を引ったくる。離れて暮らすお母さんに泣かれているなんて、孫はいたたまれないだろう、そいう感じだ。

 

大塚寧々(母親)とオダジョー(父親)には小学生の息子らがいる。兄の航一(前田航基)は母親と共に彼女の実家、鹿児島でくらしており、弟の龍之介は父親と福岡市で二人暮らしだ。

 

登場する(ほぼ脇役然とした)大人たちが淡々としている中、祖母だけが娘夫婦の別居という状況に批判的なのだと思う。静かに調和する画面の中、祖母の荒っぽい動作のシーンは印象的。

 

しかし、祖母の心配をよそに弟の龍之介はそんなタマじゃない。

大阪時代の食卓のシーン。家族揃ってご飯を食べている最中に父と母の喧嘩が始まる。食べ物も飛ぶ。繊細な兄は仲裁に入るが、龍之介はたこ焼き?を抱え、カメラの真ん前に移動してたこ焼きをパクつく。

「しっかり食べて、備えとかなあかんからな」そんな顔。(すごく面白いです)。

 

別居について批判的な(感じがただよう)祖母と胸を痛めている兄。彼ら以外は、不思議なほど、動じてないというか、淡々…まじ淡々としてる。(案外、そういうものなのかもしれないなあ)。

 

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 龍之介の友達有吉恵美(内田伽羅)。

 

龍之介の友達の背が高い有吉恵美ちゃんが凄くいい!なんていうか、主役を張れる顔?

 

 兄は、新幹線がすれ違うとき、願いをかければ叶う、という奇跡を目指して行動を起こす。兄弟とそれぞれの友達が一緒になって、大人に内緒で一泊旅行を計画するのだ。

 

恵美ちゃんが見知らぬおばあちゃん(リリィ)に丁寧に髪を梳かしてもらうシーン。

…わたしは居心地が悪かった。

小学生の時、休み時間になるとわたしの髪を梳かしたり、編んだりする女の子がいて(彼女はマイコームを持っていた)、わたしはとても居心地が悪かった、そのことを思い出したんだ…。

 

だからさ、ちょっと、恵美ちゃんも居心地悪そうだったよね…? 

 

あと、オダジョーがね、素敵だった。(どっしょもない役なんだけどね)

 

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樹木希林さんが亡くなった。

最後まで仕事をしておられた。すごいなあ。