写真

誰も見ない

ちょうどお茶を飲み終わった時だった 「そうだ!裏に桃色の花が咲いてるよ。」Rは、発見者として得意げな顔をわたしに向けた。 そりゃそうだ、とわたしは思う。10年前からあすこにあって、毎年、可愛い花を咲かせる林檎の木だ。Rもそろそろ気がつくはずさ。 …

一杯のコーヒー

カウンターバーに友人と行った。 帰りがけ、コーヒーを頼んだら、コーヒーカップに入った醤油スープが出てきた。 恐る恐る、、何せ私たちはまだ若かった、女性のバーテンダーに間違えているのではないか、と言った。 彼女は、ことの次第を理解すると、慌てる…

アレゴリーが好きな中国

「男は政治を志してなんぼだ」 ってなことが、人生の既定路線だったらどうする? そしてその既定に対抗する「なにもいらない。愛している」という女の情。 なにせ、「志と情」を対立軸とする物語が、多いんだわ、中国時代劇ドラマには。 まぁ。。この儒教的…

人生の趣き

わたしは20歳だった。 「knori、ケーキの作り方、教えて」とE子に頼まれた。 「本を見てその通りに作れば大丈夫だよ。」と答えると、 「難しくて、出来ない!」とE子は言うので、首をひねってしまう。 お菓子やパン作りは、簡単なのだ。道具さえ揃っていれ…

マリトッツォと噛み合わないふたり

やべー。もう11時だ。 「マリトッツォ、出来たよぉ。食べるぅ?」 Rは、背中を伸ばしながらやって来て「いまごろ?」と言った。 …そらまぁ、ブームは終わったけど、食べたくなったし。 でもRは「真夜中に食べて、太らないかな?」と心配している。 そういう…

7年目の真実

わたしは、発酵済みフランスパンにブシュブシュと霧吹きして、オーブンに入れようとしていた。ふと、、「過熱水蒸気」の表示に目がいった。 「え…。」 この機能って、霧吹きなしでフランスパン焼けるんじゃない? なぜ、オーブンを買った7年前に気づかなかっ…

ご飯だよぉ!

「R、どこ?」

やばい…

「誰か居るの?」ドタドタと踏み込んできたRが言った。 「へ?」 「忘れてた。」Rは今月末まで在宅だった。 わたしはすっかり寛いでドラマの世界にいた。 「誰と話してたの?」 「空耳じゃない?ドラマの音かも?」 「いぃぃぃや!話してた!」 …つまり、Rの…

空があんまり青くて

冬のよく晴れた日だった。 車のフロントガラスからは、見慣れた電柱や街灯が見える。ガラスに笑顔の父と母が写って消えた。 当たり前な、見慣れた、この景色の中に彼らはもう居ない。 いや、まてよ。わたしだって、この風景の中から、ある日、きれいさっぱり…

正月も過ぎて

何十年も、食事を作り、パンを焼き、お菓子を作っていると、料理することが、ほとほと嫌になったりする。 そんな時は、外食をして、とびっきり美味しいものに当たるとめっけもんだ。わたしは、美味しかったレシピを再現したくなる癖があるのよ。 焼き上がっ…

片隅のクリスマスツリー

「冬休みはイタリアで過ごそうか?」 なんて、文化圏もあるだろうけど、わたしが子育てをしていた町では、子供のためのイベントはだいたい決まっていた。 クリスマスはツリーを飾ってケーキを食べ、夏休みはキャンプに行った。たぶん、その地域の人は、皆同…

セロニアス・モンクを聴きながら

caravanという曲が好きだ。わたしは昼下がりのステップを踏む。 ウキウキしながら、思い出した、まだ、会社勤めをしていた時のことを。 Caravan セロニアス・モンク ジャズ ¥153 provided courtesy of iTunes 電話が鳴った。本社の木村さんだ。 「こんばんは…

冬の灯り

雪には意味があるはずだった。 氷の国からやって来た人が、風を撫でるように腕を広げた。 たちまち、空気中の水蒸気は凍りついて光る粒となった。 記憶を奪う雪が降ってくる。 真っ白い世界には、何も無かった。 雪を透かすようにして、光の粒が見えた。 き…

手抜きの定義は愛情

おおよその主婦は手抜き料理をする。 手抜きは、料理の基礎的な知識を必要とするよ。美味しそうだと思うレシピを見ながら、手順の省略や、一本化を思い描くんだ。 レシピに、鶏肉を炒め、ホワイトソースを1/2カップ加える、と書いてあれば、 バター多めで鶏…

ログイン出来ません

心当たりは幾つかあった。 Amazonファイヤースティックを新品にしたところ、UーNEXTにログインできない。 わたしは視聴を継続したかった。 しかし、UNEXTは、IDパスワードの問い合わせメールを、はじいてしまう。 トラブルを解決出来ないのは、UNEXTとの直接…

コスモスの…想い出

車に乗ろうとしたら、男性が笑いかけてきた。 元気か?と彼は聞いた。 見覚えのある顔だと思ったら、むかーし、わたしは、彼とデートしたことがあった。 「元気だよ」と言うと、彼はさらに笑顔を見せた。 わたしが「じゃあね」と言うと、彼はうなずいた。 ハ…

山田洋次と形

例えば、「質の悪い高校で、校舎や庭を美しく整備したところ、学生が品行方正になった」ということがある。つまり、形には力がある。もっとも問題は、ずっとその中にいると、契機を忘れてしまうことだ。 山田作品には、家を整える女が登場する。 彼女らは、…

冷水を浴びせられる

えー!中国、どうしちゃたの? あわててニュースをあさって、びっくり…。 エンタメ業界、経済界などに、規制強化のお達しだと。 「鄧小平路線を捨て、毛沢東路線へかっ?」とか書いてあったん。 もしらして、排外的にならざるを得ないほど、分断化が進んでる…

イタリア製のジーンズ

少し退屈な昼下がりに、白ワインを一杯、飲んだ。 グラスを洗っていると、目眩がした。 目を開けると、わたしはミラノのカフェにおり、横にイタリア娘がいる。 イタリア娘はわたしに腕を絡ませてきた。 「おかあさんとお揃いのジーンズだね」 わたしの娘だと…

清少納言にあこがれて

今年の夏は暑い!連日、25度の暑さが続いている。 日陰は涼しい。 ウチにはクーラーが無いのよ。 たぶん、この地方でクーラーを付けている家はごく一部だと思うな。 この前、扇風機を買いに行ったら、売り切れてたよ。 なんせ、真夏でも夜には、15、6度に下…

彼女のプレゼント

極細チェーンのネックレスが欲しい。かれこれ10年以上前からわたしはそう思っていた。 帰るにはまだ早かったから、スーパーのアクセサリー売り場を覗いた。気がつけば、10年間もイメージ通りのネックレスを探しているわけだ。 ときどきRは、わたしの・素・早…

ワインの空瓶

安いテーブルワインをとても美味しい、と言ったknoriはワインの味が分からない女の烙印を押された。密かにknoriは呟いた。「料理とワインのハーモニーは、繊細な味蕾を必要とする。きっと鈍いのよ。ふんっ。」 knoriはめげない。なかなか頑強な女なのだ。 近…

のぽのぽ気分

スーパーで買い物をした。数千円の出費。 十数年も使って、飽き飽きしていたラーメン用の器を新調。 ついでに…チュチュ風のスカートも買った。…ん、まぁね、このスカートについては、ちっと馬鹿っぽい…。 でも、愉しいんだ。 写真左下、わかる? スカートの…

relaxing

ブドウをつまんでいたら、ブドウの話しをしているブログに遭遇。偶然って嬉しいな。 ほら、食べてた跡があるでしょ? 緑トンプソン、赤クリムゾン☝️ きっとわたしとおんなじ時間に、トンプソンとクリムゾン をモグモグしている人がいる! 楽しいなぁ。 ゴビ…

アサシンの心得

おっきい、 すんごくおっきい蜘蛛!が、 ソロソロと歩いていた。体の部分だけで、1cmはある。 しのごの言ってられない!わたしは素早く行動した。鼻セレブを五枚重ねで持ち、蜘蛛をふんわりと絡め取り、ティシュの端っこを茶巾絞りでギューとねじる。 それを…

木瓜の花

すっかり春。

春の憂鬱

シベリア桜がぽしょぽしょと咲きはじめた。 ユキヤナギは満開。 春の息吹きは、わたしの心にリズムを刻む。 ウキウキ、ルンルン、ラリパッパーと、、なるはずだった。 今年の春はどこか違う。わたしの心は、今日の天気みたいな曇天模様なんだ。 薄暗いサバイ…

ショットの醍醐味

ドラマのショットには旨味がある。 ネットには、ショットとは「 映像の最小単位」だと書かれている。 特典メイキング映像なんかを見ると、スタートから「カットっぉ!」の声がかかるまでは結構短かったりする。その間の映像がシーンとかショットってよばれて…

中国の笑い

彼女の愉快なボケは、無視された。 ツッコミがない…。 中国の時代劇を見ていて不思議に思った。ボケに対するリアクションを映さなかったり、反応が無かったりする。 ボケとツッコミの「ツッコミ部分」は省略されるか、ごくごく普通な返しをするんだ。 物凄く…

男と女の友情

わたしはイヤリング 、イヤーカフがとても好き。「これ、どお?」 Rの返事は決まってる「いいね。」だ。 わたしが鈍感なのか、気にしたことがなかったからなのか、Rの返事の主眼は、わたしの機嫌が良くなることに置かれていると、この頃、ようやっと気がつい…