写真

写真日記

某日 「そんな面倒な事はしない!」 友人たちは、みな力強く宣言した。 これは、《動画配信の無料体験を渡り歩く》か否か、友人たちに聞いた時のことだ。 歳を取ってからの「面倒だ」は、脳の衰えとほぼほぼ同義になる。 「面倒」の内訳は以下のようになる。…

ラストノート

彼女は、辛そうに身体を起こし、枕にもたれた。 「あの彼が見舞いに来たのよ」と、わたしに言う。 “あの彼“というのは、昔、彼女が愛した男だ。 彼女の夫も“あの彼“を知っていた。最後に、会わせてやろうとしたらしい。 「彼には、会いたくなかった。見られ…

天王洲アイル

2泊3日の東京。 東京に住む息子の案内で天王洲アイルへ行った。 運河沿いの建物からは、河に向かってテラス通路が張り出し、実に開放的だ。 眺めの良い高台を風が通り抜けていく。そこは喫煙スペースになっていた。こんな気持ちの良い喫煙場所は、何十年ぶり…

アフタヌーンティー

っを、楽しもうと、いそいそ出かけた。あっと驚いたことに、祭日のアフタヌーンティーは予約制だった。 しょうがないので、コーヒーとケーキを注文した。 この店は、ホテルのラウンジにある。つまり、コーヒーの値段が高い。 まぁ、豆も高級なんだろうけど、…

物語とわたしの記憶

わたしは物語にワクワクする。 何故なのかなぁ? わたしの場合、人生経験は茫漠とした記憶の中に埋もれていく。 けれど、TVドラマのように、物語で語られる人生は、わたしの絡まった記憶のかけらに、方向と意味を与える。 この情感や感性の再生に、わたしは…

ハイヒールが合うジーンズ

若い頃は、Tシャツと短パンで充分だった。小麦色に日焼けした肌は、全てを補ってくれた。 しかし、年寄りになったわたしは、服装に気を使う。 年寄りは油断をすると、汚くなるんだ。 とは言うものの、友人達とのランチの約束に遅れそうだし、曇天だし、ジー…

わたしは、

草刈りばっかしているよ。 菓子作り専用のカウンター。 分かる人には分かる、料理の台と菓子作りの台を分離したかった。 やっと手に入れたカウンターだ。 時間がまちまちな朝食用のカウンターとしても使えるはずだった。 「ちょっとちょっとぉ、カウンターの…

写真日記

某月某日 洗い物や料理をするごとに、ネイルストーンが少しずつ消えていく…。 若い頃は、1日で剥がしたストーンを、年の功ではなく、面の皮が厚い、と言うべきか、数日もたそうとした。 風の強い日、スーパーから出ようとしたら、女子高生が二人飛び込んでき…

朝寝坊

掃除をしていると、折り畳まれたパンフレットがヒラヒラと舞い落ちてきた。 転勤して行った息子の忘れ物だ。皺を伸ばし、額に入れた。 ピザ風パンを焼いた。 フルーツタルトはブルーベリーだけで作る羽目になった。 ケーキピックを飾っておく。 なぜだか、自…

冬の終わりに、、

高速道路で片道、2時間強の隣り町に遊びに行った。 びっくりするほど楽しかった。興奮度は、日常のわたしのテンションに反比例している。 常日頃、わたしは、☝️換気扇の前に腰掛け、タバコをモクモク吸い、コーヒーを呑む。 辺りは一面の雪だ。 気がつかない…

むごいなぁ、虐待の映像

クリーム、バター、チョコ!好きなものはたっぷり使いたい。 たっぷりの練乳クリーム、絞り出し過ぎのマシュマロ、入れ過ぎのリンゴ。 バターとアンコのロールケーキ。4倍入れたチョコチップクッキー。 ……と書き始めたが、、 わたしはNHKクローズアップ現代…

ネンマツネンシ家

正月の朝、雪景色をながめていたら、ネンマツくんがやって来た。 「いやいや、僕はショーガツですよ。」 ネンマツくんとショーガツくんは、ネンマツネンシ家の兄弟だ。 「これは失礼しました、ショーガツくん。今日は、おひとりですか?」 「えぇ、えぇ、ネ…

カタールW杯 画期的な本田圭佑さんの解説

今年のツリーは、北欧の妖精と毛糸の玉。あったかそうなのよ。 3COINSで買ったオーナメント。 ☝️ほかほか豚肉のミルク煮 日本のPK戦はリアルタイムで見ない、と12年前、心に決めた。 でも、スペイン✖️モロッコのPK戦は痺れるほど面白かった。さっそく、…

コロナにかかった

むっちゃ軽症。 空がとても青かった。

秋のピクニック

「イケメンの岩渕さんから電話があったのよ、保険の事で。」 「うん」 息子と2人でラーメンを食べながら、わたしは、勢い込んでいた。 家族自動車保険の事は、息子だって当事者にちがいない。 わたしは、この保険トラブルで、むっちゃ、Rに腹を立てていたの…

ワイヤーアクションと道教

「道教を理解すれば、中国文化が分かる」 これは魯迅のアフォリズムだと書いてある。 なるほど。。 神仙は、天上の城や、崑崙山や、桃源郷で暮らしている。もちろん、神仙は飛べなくちゃいけない。心が躍るほど、マンガチックである。 神仙絡みの中国ファン…

子育てと自己否定

子育て中のブログを読みながら、つくづく思った。 子育て中の幸せや苦労は、皆、なんと似通っていることか。。 多分、似通るのは、、、「社会から隔絶され、室内で行うしかない数年にわたる子育て」という条件にあるのだと、わたしは思っている。 子育て時代…

変な薬味

料理には、3種類の塩を使ってるんだ。 薬味や調味料をたくさん使う中華には、意外なことに、まろやかで旨味のあるゲランドの塩が合う。パスタを茹でるときには、甘味のあるキリッとした塩が必要だ。和風料理にはシンプルな塩を使う。 もちろん、わたしの料理…

誰も見ない

ちょうどお茶を飲み終わった時だった 「そうだ!裏に桃色の花が咲いてるよ。」Rは、発見者として得意げな顔をわたしに向けた。 そりゃそうだ、とわたしは思う。10年前からあすこにあって、毎年、可愛い花を咲かせる林檎の木だ。Rもそろそろ気がつくはずさ。 …

一杯のコーヒー

カウンターバーに友人と行った。 帰りがけ、コーヒーを頼んだら、コーヒーカップに入った醤油スープが出てきた。 恐る恐る、、何せ私たちはまだ若かった、女性のバーテンダーに間違えているのではないか、と言った。 彼女は、ことの次第を理解すると、慌てる…

アレゴリーが好きな中国

「男は政治を志してなんぼだ」 ってなことが、人生の既定路線だったらどうする? そしてその既定に対抗する「なにもいらない。愛している」という女の情。 なにせ、「志と情」を対立軸とする物語が、多いんだわ、中国時代劇ドラマには。 まぁ。。この儒教的…

人生の趣き

わたしは20歳だった。 「knori、ケーキの作り方、教えて」とE子に頼まれた。 「本を見てその通りに作れば大丈夫だよ。」と答えると、 「難しくて、出来ない!」とE子は言うので、首をひねってしまう。 お菓子やパン作りは、簡単なのだ。道具さえ揃っていれ…

マリトッツォと噛み合わないふたり

やべー。もう11時だ。 「マリトッツォ、出来たよぉ。食べるぅ?」 Rは、背中を伸ばしながらやって来て「いまごろ?」と言った。 …そらまぁ、ブームは終わったけど、食べたくなったし。 でもRは「真夜中に食べて、太らないかな?」と心配している。 そういう…

7年目の真実

わたしは、発酵済みフランスパンにブシュブシュと霧吹きして、オーブンに入れようとしていた。ふと、、「過熱水蒸気」の表示に目がいった。 「え…。」 この機能って、霧吹きなしでフランスパン焼けるんじゃない? なぜ、オーブンを買った7年前に気づかなかっ…

ご飯だよぉ!

「R、どこ?」

やばい…

「誰か居るの?」ドタドタと踏み込んできたRが言った。 「へ?」 「忘れてた。」Rは今月末まで在宅だった。 わたしはすっかり寛いでドラマの世界にいた。 「誰と話してたの?」 「空耳じゃない?ドラマの音かも?」 「いぃぃぃや!話してた!」 …つまり、Rの…

空があんまり青くて

冬のよく晴れた日だった。 車のフロントガラスからは、見慣れた電柱や街灯が見える。ガラスに笑顔の父と母が写って消えた。 当たり前な、見慣れた、この景色の中に彼らはもう居ない。 いや、まてよ。わたしだって、この風景の中から、ある日、きれいさっぱり…

正月も過ぎて

何十年も、食事を作り、パンを焼き、お菓子を作っていると、料理することが、ほとほと嫌になったりする。 そんな時は、外食をして、とびっきり美味しいものに当たるとめっけもんだ。わたしは、美味しかったレシピを再現したくなる癖があるのよ。 焼き上がっ…

片隅のクリスマスツリー

「冬休みはイタリアで過ごそうか?」 なんて、文化圏もあるだろうけど、わたしが子育てをしていた町では、子供のためのイベントはだいたい決まっていた。 クリスマスはツリーを飾ってケーキを食べ、夏休みはキャンプに行った。たぶん、その地域の人は、皆同…

セロニアス・モンクを聴きながら

caravanという曲が好きだ。わたしは昼下がりのステップを踏む。 ウキウキしながら、思い出した、まだ、会社勤めをしていた時のことを。 Caravan セロニアス・モンク ジャズ ¥153 provided courtesy of iTunes 電話が鳴った。本社の木村さんだ。 「こんばんは…