2021-01-01から1年間の記事一覧

EMMA.エマ

ジェイン・オースティンはやっぱり面白い。 2020年、オータム・デ・ワイルド監督、ジェイン・オースティン原作 アニャ・テイラー=ジョイ主演 むかし、オースティンを何作か読んだとき、『エマ』は、好きじゃなかった。 でも、この映画で、わたしは始めて、…

慶余年と中国ドラマに惹かれる理由

わたしの住む世界は小さい。年を取ったわたしの動きは狭まり、より小さくなった世界の中に居る。不思議なもので、そんなわたしは社会を理解した気でいる。 時々耳にする日本文化という言葉。けれど、その文化は多層的だろうと思う。 例えば、貧乏な階層の文…

片隅のクリスマスツリー

「冬休みはイタリアで過ごそうか?」 なんて、文化圏もあるだろうけど、わたしが子育てをしていた町では、子供のためのイベントはだいたい決まっていた。 クリスマスはツリーを飾ってケーキを食べ、夏休みはキャンプに行った。たぶん、その地域の人は、皆同…

セロニアス・モンクを聴きながら

caravanという曲が好きだ。わたしは昼下がりのステップを踏む。 ウキウキしながら、思い出した、まだ、会社勤めをしていた時のことを。 Caravan セロニアス・モンク ジャズ ¥153 provided courtesy of iTunes 電話が鳴った。本社の木村さんだ。 「こんばんは…

冬の灯り

雪には意味があるはずだった。 氷の国からやって来た人が、風を撫でるように腕を広げた。 たちまち、空気中の水蒸気は凍りついて光る粒となった。 記憶を奪う雪が降ってくる。 真っ白い世界には、何も無かった。 雪を透かすようにして、光の粒が見えた。 き…

太子妃狂想曲

「男は男らしく、女は女らしく」という当局のお達しは、嘘かホントか分からないけど、中国映像業界の規制強化は悲しい。 2015年、ルー・ハオジジ監督 6年前、規制が始まる前の「太子妃狂想曲」は、低予算ながら、ぶっ飛んでいて、めったんこ愉快! ある日の…

DUNE/デューン砂の惑星

「四月は残酷極まる月だ リラの花を死んだ土から生み出し 追憶に欲情をかきまぜたり 春の雨で鈍重な草根をふるい起こすのだ。」 2021年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、 フランク・ハーバート原作、ハンス・ジマー音楽、 ティモシー・シャラメ主演 わたしは、T…

×××もフィンガーズ・クロス

四季咲きのバラはまだたくさん蕾をつけてる。 けなげな花だなぁ、と思う。 次の日、霜が降りた。その次の日も。 朝日を受けた氷の粒は、キラキラと光を反射する。 白くなっている庭をながめて、焦る。カサブランカの移動を早く終えてしまおう。 ツルハシで穴…

きのうの夕食

息子が赤ワインを買ってきた。 冷蔵庫には薄切りの牛肉が入っている。 天ぷらにして、ゆず塩で食べようか↓ あと片付けの楽な牛丼にしようか、、? ほぼ、下の方にわたしの身体は傾いていた。 「ステーキがいいな」 低きに流れる水を堰き止める、息子の声であ…

手抜きの定義は愛情

おおよその主婦は手抜き料理をする。 手抜きは、料理の基礎的な知識を必要とするよ。美味しそうだと思うレシピを見ながら、手順の省略や、一本化を思い描くんだ。 レシピに、鶏肉を炒め、ホワイトソースを1/2カップ加える、と書いてあれば、 バター多めで鶏…

ログイン出来ません

心当たりは幾つかあった。 Amazonファイヤースティックを新品にしたところ、UーNEXTにログインできない。 わたしは視聴を継続したかった。 しかし、UNEXTは、IDパスワードの問い合わせメールを、はじいてしまう。 トラブルを解決出来ないのは、UNEXTとの直接…

エカチェリーナの時々真実の物語

頭が良くて…どこか肝の据わった女の子の結婚相手は、とんでもない男だった。さあ、いったい彼女はどうする? というプロットを、18世紀の女帝、エカテリーナ2世のクーデターに寄せて綴った、下ネタ満載のコメディ。 ーーー2020年、Hulu制作、アメリカ エル・フ…

コスモスの…想い出

車に乗ろうとしたら、男性が笑いかけてきた。 元気か?と彼は聞いた。 見覚えのある顔だと思ったら、むかーし、わたしは、彼とデートしたことがあった。 「元気だよ」と言うと、彼はさらに笑顔を見せた。 わたしが「じゃあね」と言うと、彼はうなずいた。 ハ…

山田洋次と形

例えば、「質の悪い高校で、校舎や庭を美しく整備したところ、学生が品行方正になった」ということがある。つまり、形には力がある。もっとも問題は、ずっとその中にいると、契機を忘れてしまうことだ。 山田作品には、家を整える女が登場する。 彼女らは、…

少林問道 その3

このドラマは、ジレンマに陥った人々の話しだ。 テマティック的に言えば、白と黒の色彩が対照的に現れる。 混乱と葛藤の出来事は、黒い影と白い光の白黒映像になり、少林寺で暮らすようになった主人公の衣の色について言えば、(死、もしくは彼岸)を意識した…

少林問道 その2

理と情が相克する中で、登場人物たちの選択、決断行動はたまらなくスリリングだった。それに引っ張られた42話はあっという間だった。 ☝️いいなずけ(お姫様)は娼婦になった 高僧は、主人公といいなずけ☝️を逃がそうとした。 二人で生きていける機会が、主人公…

少林問道

むかしむかし、「親の因果が子に報い」という有名な芝居小屋のキャッチコピーがあった。「少林問道」は、そんなお話し。 ーーー2016年、フー・ドンユー監督ーーーGYAO!で視聴中 見始めてすぐに、監督か、カメラマンは台湾出身じゃないの?と思った。 とても優れて…

冷水を浴びせられる

えー!中国、どうしちゃたの? あわててニュースをあさって、びっくり…。 エンタメ業界、経済界などに、規制強化のお達しだと。 「鄧小平路線を捨て、毛沢東路線へかっ?」とか書いてあったん。 もしらして、排外的にならざるを得ないほど、分断化が進んでる…

簡不知の反復と再生

友情で結ばれた二人の若者、この類型は長い間に、何回も反復され再生され、今回は、簡不知と趙我還というコンビになって現れる。 簡不知は、記憶喪失による隠れた謎をもっている、私はそれがとても新鮮だった。反復と再生のズレは時に醍醐味となる。 ーーーU-NE…

イタリア製のジーンズ

少し退屈な昼下がりに、白ワインを一杯、飲んだ。 グラスを洗っていると、目眩がした。 目を開けると、わたしはミラノのカフェにおり、横にイタリア娘がいる。 イタリア娘はわたしに腕を絡ませてきた。 「おかあさんとお揃いのジーンズだね」 わたしの娘だと…

結婚作詞 離婚作曲s1、s2

ある日、ふと浮かび上がる浮気心。多分、誰にでもあるものだと思う。だから、わたしにとって結婚は、「続ける決意」だ。 甘い恋の先は、結婚という名の共同生活。互いに助け合ったり、相手を慈しみながら生きていく。 ーーー Netflix 2021年韓国制作 ーーー もちろ…

宸汐縁 運命の桃花/チャン・チェン

どうしようもなく、心が離れてしまう。いったい何遍、視聴を中断しただろう? いよいよ見るものが無くなって、再チャレンジしたところ、わたしは60話を見終わって感動していた。 ーーーーーー 2019年、主演チャン・チェンとニー・ニー。 ーーーーーー このドラマは、…

五輪 U24サッカー決勝 スペイン✖️ブラジル

NHKさん、しっかりしてくれよ。ものすごく楽しみにしてた試合だよ!テロップで「放送開始が遅れます」って出してくれたら、落ち着いて待てたんだよ! アウヴェス☝️ まぁ、サッカーを見なくなって3年の、わたくしごときが、目を剥いたからどうだって話ではあ…

清少納言にあこがれて

今年の夏は暑い!連日、25度の暑さが続いている。 日陰は涼しい。 ウチにはクーラーが無いのよ。 たぶん、この地方でクーラーを付けている家はごく一部だと思うな。 この前、扇風機を買いに行ったら、売り切れてたよ。 なんせ、真夏でも夜には、15、6度に下…

離人心上

「離れていても、心の中にあなたが居る」 そんな風な、 意味だと思う、『離人心上』は。 /U-NEXT 2020年「太陽と月の秘密(邦題)」、ジェン・イェチョン主演/ 初月と眠ったふりの薛曜 表向きは、コッテコテの鉄板のラブコメねたに過ぎないものを、密やかに洒…

彼女のプレゼント

極細チェーンのネックレスが欲しい。かれこれ10年以上前からわたしはそう思っていた。 帰るにはまだ早かったから、スーパーのアクセサリー売り場を覗いた。気がつけば、10年間もイメージ通りのネックレスを探しているわけだ。 ときどきRは、わたしの・素・早…

男はつらいよ50

満男は泣いていた。 50年の間に失ったものを思い、彼は泣くのである。 __2019年 、山田洋次監督、原作脚本。 吉岡秀隆、後藤久美子。渥美清。__ 昔、満男は一世一代の恋をした。 中年になった満男は、ある日、その初恋の人、泉さんと出逢った。 二人の三…

ワインの空瓶

安いテーブルワインをとても美味しい、と言ったknoriはワインの味が分からない女の烙印を押された。密かにknoriは呟いた。「料理とワインのハーモニーは、繊細な味蕾を必要とする。きっと鈍いのよ。ふんっ。」 knoriはめげない。なかなか頑強な女なのだ。 近…

東京女子図鑑とインクルーシブ

「そうかぁ。彼は足長おじさんかぁ。」 経験の少ない若い女性にとってみれば、不倫相手は大なり小なり「足長おじさん」になり得るんだと、感心しながらドラマを見ていた。 2016年、タナダユキ監督、黒沢久子脚本 水川あさみ主演 水川あさみは要所要所で、ど…

忘れないで

オレンジ色の野花は得体が知れない。いつの間にか自生していた。 自然の中に、いろんな野花は隠れている。 わたしはベンチの上であぐらをかいてストレッチをしていた。その時、空色のちぃちゃな野花と目が合った。 見える? これ 野花との出会いは、発見の喜…