「黒衣の刺客」と退屈な講義

正直に言うと、5回は寝た。 

 この映画…。

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 ☝️妻夫木聡忽那汐里。「侯 孝賢 監督作品。2015年」

 

なんの気無しにチョイスしたこの作品。

しかし、最初の白黒の一連のシーンを見たわたしは、もうもう感動!

素晴らしい構図、素晴らしい勾配を馬に乗った人々が歩いてくる。

うっわぁ、と思った。

あふれる木漏れ日の美しいこと!ろくに知りもしないが、最初、フォードを思い出し、次にルノワールみたいだと思う。

 

一旦、コーヒーを飲んで落ち着いて、続きを診始めた。

がぁっ…!カラーになってからがたいへん。

感情移入を阻む作りになってるんだ…。

顔のアップ、バストショットあたりが、感情表現を伝える、ってことになっている。

ところが、ほぼ、遠景ショット。人物も。

極端に台詞が少ないが、台詞が入る時は、暗闇の中、遠くにぼんやりと顔が映る、って塩梅。

もしかしたら違うのかもしれないが、ほぼ音楽がなかった。画も薄暗い。

わたし、そらぁ、寝ちゃうよ。

そいでも、見続けたのは、映像が、画が、なんつうか、素敵なんだ。

 

 妻夫木の妻役、忽那汐里。👇

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上に上げた2枚の写真 、これらのシーンだけは、きちんと光があった。

まぁ、寝ちゃってるからなんだけど、訳が分からなくてあとで調べた。

 鏡磨きの旅人みたいな妻夫木聡は、遣唐使で、これらのシーンは日本に残してきた妻を回想していたんだと…。

 

この監督がすごい人だなと思わせるのは、観客の感情移入を阻むにしても、通り一遍のやり方だけじゃなくて、光の使い方で、分けているところじゃないかと思う。

つまり、妻夫木聡だけには自然な感情表現をさせ、彼には光がある。彼の回想シーンには光が溢れている。

光が、豊かな詩情を生むということを改めて思い知らされたよ。

 

主役の女アサシンは、彼女が愛した幼馴染を暗殺するように命じられる。

 何遍もアサシンの師匠が出てきて、感情を持つな、心を殺せ、みたいなことを言う。

そのアサシンが出会ったのが、人間らしい暖かさを持つ妻夫木聡なんだ。

 

最後、師匠が例によって例のことを宣い、アサシンと刃を交わす。

強いわけよ、アサシン。カーン、パシンって師匠の刀を弾いて、颯爽と踵を返した。

このシーンは光があって、師匠の顔がはっきりわかる。

もう師匠は圧倒されている。

アサシンは信念を持った…。感情的な判断ですよ。

 

そして、アサシンは待っていた妻夫木聡の所に行ったんだわぁ。

二人が歩いていくシーンは、光が溢れているわけではなく、曇りの時の光みたいな感じ。

でも平明な画。

そして、寿ぐように音楽が流れた。

 

 

「海上牧雲記」「この男は人生最大の過ちです」

毛皮で包まれた女の子は、彼女を抱きしめていた男の頬におずおずと手を伸ばしました。

それは男の限界だったのかもしれません、彼は顔を背けました。

 

左から 碩風和葉と金珠海。

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 2017年「海上牧雲記」☝️

 

これは、「海上牧雲記」の17話目のお話。

二人は結婚したばかりでした。

夫の前に、男と裸で重なり合っている妻が布団ごと縛り上げられ運ばれてきたのです。

頭にかかっていた毛皮を取り払われた妻は、獣のように叫びました。

妻と重なっている男が夫を嘲ります。

「この女はいい身体をしている」「俺の寝床にこの女はいつも滑り込んできた」

 

男の顔を殴りつける夫の一点の迷いもない姿は感動するし、飛び散る血が茫然自失としている妻の見開いた目の中を流れていきます。

 

精悍な夫は、「お前を信じるし、過ぎたことだ」と答えます。

しかし、妻の伸ばした細い手から顔を背けてしまうのです。

やっぱりなぁ…と、震える思いでわたしは見ていました。

 

「あなたに贈り物をあげる」と言う妻の言葉には二重の意味があります。

彼女からの解放は、彼の野望と夢へ向かう自由と重荷からの解放です。

 

目新しい話じゃありません。強姦された妻とその夫の話しです。

けれど、女の子の役者さんの力強さときっぷの良さが、可愛らしくてたまりません。

ともかくこの17話は女優さんの魅力がすごかった。

 

 

この「海上牧雲記」というドラマは、面白くない!わけじゃない……。でも、70話もあって、そいでまだ、序章に過ぎない、という…。

プロットはスゲー魅力的なんだ。なにせ、主人公は荒神だとかいう超能力を秘めていて、全然目覚めていない。3人のヒーロー達はそれぞれ呪いというか予言を持って生まれてくる。それらが絡み合って、つう、架空の世界におけるファンタジー

 

 この超絶面白い筋書きを、おーい、どーしたん!?カタルシスがおせぇー!

つう冗長…なのねぇ。

あと、架空の世界観を表現するためなのか、日本風味が舞台美術にあって首を傾げていた。

 なんと日本にもロケに来ていたらしい。

 

それと、中国TVドラマは、アニメのように声優さんが声をあてる、吹き替えの文化なのよ。

初めは、役者さんが口をつぐんでいるのに、朗々と喋っていて、仰天した。

でもこのドラマは、役者さんの生音声が使われているんだと。

でもって、中国ではそれが不評で、「予算はあるのに、吹き替えをケチるな!」と。

台湾訛りや香港訛り広東訛りやら混じっていて興醒めってやつかな、と想像した。

ドキュメンタリーなどを見ると、標準語の北京語が通じない民族などがいて、多国籍だけじゃなく多言語の国家なんだな、と思う。

 

吹き替え、初めは面白いやり方だなと思ったけど、馴染みの声優さんが出てくるに及んで、これは難しいなぁ、、とちょっとおもう。

 

そそ、面白いことに、中国人のカタカナ英語がメッサ聴きやすい。

わたしが言うカタカナ英語って、日本人が「ハンバー」って喋ってるやつのこと。

こうしたカタカナ英語が中国ドラマにも出てくるんだけど、発音に違和感がない、すごくよくわかる発音なんだ。

でも、韓国ドラマのカタカナ英語って、ほぼわからない。

例えば、ファイトは「ファイジャン」みたいに濁音が混じるんだ。

なまりの違いって面白いなぁ、っておもう。

 

 

 

 『この男は人生最大の過ちです』2020年。

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 このドラマの松井愛がめちゃくちゃ魅力的!

上の中国ドラ「海上牧雲記」の重要なヒロインに失望していた直後に、ちょっと見したら、惚れちゃいそうになった。

 

 

三国志 Secret of Three Kingdoms

花火を見て帰ってきた。 

 華やかな花火に混じって、味わい深かったり可憐な花火があった。とても心に残った。

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 2018年中国ドラマ

原作は、馬伯庸の小説「三國機密之潛龍在淵」。

途中までしか見られてないので、物語はこれからってところなんだけど、面白い。

作者は、司馬懿と一緒に育った劉平という架空の人物を設定することでやりたいことをやろうとしている感じ。

有名な司馬懿曹操郭嘉以外は、サブキャラをメインに裏の物語、、というか確固としたオルタナティブなお話を作り上げようとしている感じがある。

ブロマンスや美しい役者たちといった彩りもあるけど、なんていうか結構しっかりした物語。

 

実は書いておこうと思ったのは、物語じゃなくて、エンディン曲の「少年志」。

 字幕の歌詞を見た限りで、大雑把に言うと、「乱世に生きる少年たちの志の有り様みたいなものを歌っている」。

なにせ中国の歌詞は、多義的な要素が強い。第一に漢字が多義的。

この歌も如何様にも解釈可能だと思う。

そそ、中国語って、1600くらい音があるって聞いたよ。日本語って80くらい?なんか、中国ってなんか、なんかスゲー……

 

歌は、中島みゆきに雰囲気が似ている。比べると「少年志」の方が洗練されているかも、とか思いながら、格別、興味が湧いたわけじゃない。

 

が、しかし、17話目のお話だ。

趙彦という16、7歳の文官がメインのお話。このドラマの主人公は18歳という設定なので、ホントは、少年たちの物語なんですねぇ。

 

でもって 趙彦という天才官僚というべきな少年は、彼が愛したお妃様のお願いを聞いて、主人公の秘密を、、優秀すぎるが故に、暴いちゃうんです。

そして彼は、信念ゆえに、死んでいくわけです。

格別のこともなくドラマを見終わり、エンディング曲を耳にしていたわたしは、突然、万感胸に迫って…落涙。

 

歌詞と映像がフラッシュバックする。

遠い昔、少年たちは、志しを守り命を散らしていった。

そんな哀しい唄を想う。

 

 

少年志 (《三國機密之潛龍在淵》主題曲暨片尾曲)

少年志 (《三國機密之潛龍在淵》主題曲暨片尾曲)

  • 王嘯坤
  • マンドポップ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 (字幕歌詞)

燗酒の火には まだ温もりが 

忘れ難き この遺恨 

誘うような 灯火の光 

揺蕩う魂を 夢に見る

 

真実を暴く 異郷の月光 

物寂しき 誰かの目元 

彷徨い歩く 風の中 地を這った この歳月

 

歴史に 名を刻まん 名も無き者の 夢の跡 

余生は乱世から離れ 悲しき歌が 響き渡る

 

変わらぬ 少年の大志 乱世では 誰もが赤子 

余生は 太平を願う 人の世に 生きるのみ