中国はファンタジードラマを上手いこと作る。SFも上手いだろうと何となく思っていた。
この中国版「三体」は、やはり面白かったよ。
3月末にはnetflix版「三体」も公開される。比べて見るのも一興かな。netflix版はアメドラ系ってことになるかな。
若い頃の葉文潔☝️
このドラマは、三部作の第一部にあたる。
第一部は、葉文潔教授によって語られる若き日の決断と、力学で有名な「三体問題」について描かれる。
むかし、1966年からの文化大革命を知った時、わたしは、知識人層や、粛清された人々のことを想像した。
希望が微塵も無い、手も足も出ない状況では、絶望しかないんだろうな、とその時に思った。
ドラマでは、「科学と知性の否定」という短い文言しか出てこないけど、紅衛兵の暴走を思うに、地獄に落とされたようだったろうな、と思う。
若き日の葉文潔は、ずっと無表情だ。感情が枯渇したような顔なんだ。
現在、老いた葉文潔教授は、「決断を後悔したことがあるか?」と聞かれ、あっさり「無い」と答えた。教授は、ふと立ち止まり「そういえば、一度だけあった」と話し始めた。
若い葉文潔は、村の子供たちから請われて勉強を教えることになった。その頃には、文化大革命も終焉に近づいていたのだろう。
子供たちの自然な知識欲は、葉文潔の硬い殻を少しずつ剥がしていた。
凍てつく大晦日の夜、子供たちは、葉文潔先生に餃子を届けに来た。
彼女は、子供たちの話に笑いながら泣いていた。
見始めてからはじめて、彼女に人間らしい表情が戻ったのだ。
その瞬間、若い葉文潔の深い深い絶望感が私の心に沁み入ってきた。
わたしは、一時停止を押して、考えた。
まさか、今になって、むかし知りたかった文化大革命の傷に、葉文潔の決断を被せた作品を見られるとは、、。
このシーンはわたしにとって万感胸に迫るものだった。
三体問題のゲームも面白く見た。
わたしは、三体問題の「問い」を理解したつもりになった。
虫のショット、第二部へ向けた伏線のショットは心に残る。
第二部、すごく楽しみ。