「四月は残酷極まる月だ
リラの花を死んだ土から生み出し
追憶に欲情をかきまぜたり
春の雨で鈍重な草根をふるい起こすのだ。」
2021年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、
フランク・ハーバート原作、ハンス・ジマー音楽、
わたしは、T・S・エリオット『荒地』を思い出した。
映像が作りだした世界観は、詩のようで、
禁欲的な貴族的なシャラメのたたずまいは、美しかった。
朝の食卓、
母親と少年は、朝食をとっている。
彼女は、息子にボイスの訓練を強制している。ボイスとは、人を声だけで操る術だ。
静謐な光の中に、突然の咆哮、ボイスが響き渡る。
母親の強制と息子のかすかな反抗、それらのあやが折り重なっているシーンだった。
母と息子☝️
逃げる母と息子は、砂漠のど真ん中で、機密服に着替えなければならなかった。
少年は、母親に裸を見られたくない。
母親は、息子に裸を見られたくない。
数年前までは、屈託なかった視線に、気まずさが混じる。
誰にでも覚えがあるだろう、ささやかなシーンなのに、新鮮だった。わたしは、はじめてこれを映像で見たような気がした。
現地人と出会った母親は、脱出する為の乗り物を頼んだ。
しかし、少年は、デューンに残る決断をする。
第二章の幕が開いたのだ。
パート1は、ここで終わった。
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多方面に影響を与えた有名なSF原作『デューン』。
エメリッヒ監督の「スターゲイト」もそのひとつだと言われる。
考古学者のダニエルは、「白人の救世主」扱いをされる。ちょっと茶化してあるものの、まぁ、、植民地主義云々を言われても、しゃぁないところだ。
ドゥニ監督は、ここら辺をどうするのか、興味深いな。