友情で結ばれた二人の若者、この類型は長い間に、何回も反復され再生され、今回は、簡不知と趙我還というコンビになって現れる。
簡不知は、記憶喪失による隠れた謎をもっている、私はそれがとても新鮮だった。反復と再生のズレは時に醍醐味となる。
ーーーU-NEXT、中国2020年制作ーーー
簡不知は、探偵組織の門主である父とその一門を皆殺しにされた。
彼はその時に記憶を失っていた。
天才探偵である彼は、真相を求め旅に出る。
簡不知は、梅長蘇のように寒毒にかかっていて、よく気絶する。武術が全く出来ない簡不知を守るのは、あっつい友情で結ばれる趙我還。「陳情令」のようなBLのパロディが何ヵ所かあって大笑いしてしまう。
古今東西の文芸作品、その引用、参照、関連の中にあるこのドラマは、だからというか、わたしは最後の真相を予想出来た。コホン。
ドラマの前半はスリリングで話運びも上手い。
前半の終わりに、命をかけて簡不知を逃す女がいる。彼女の表情を捉えたショットは素晴らしかった。
なのに、後半に入ってからは、訝しくなるほど、所々、ヘン!
特に、2、3ヶ所あるラブシーンには絶句した。
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中国ドラマを見ていると、オリジナルやその作者に対する関心が薄いという印象がある。
プラトンから始まる至高の芸術を目指すみたいな芸術家と、職人仕事の間には距離があるとわたしは思っていた。
中国では骨董品をアートとみなしているのかな、とも思っていた。
後宮の愛憎復讐ドラマで、高額な骨董品が出てきたことがある。
皇帝はその絵巻物をとても大事にしていたが、ある日、こっちこそ本物だという巻物が出現する。
ドラマのポイントは、真贋を見抜くお妃の機知なんだけど、二つの巻物が画面に写った時、わたしは仰天した。皇帝は、大切にしていた絵巻物に、3、40個も落款をベタベタ押していた。
二つの巻物は、少し画が違う。複写じゃなくて二次創作的で、面白いなぁ、と思う。
、、芸術家ではなくすべては職人、、なのかなぁ。かの国は。