掃除をしていると、折り畳まれたパンフレットがヒラヒラと舞い落ちてきた。
転勤して行った息子の忘れ物だ。皺を伸ばし、額に入れた。
ピザ風パンを焼いた。
フルーツタルトはブルーベリーだけで作る羽目になった。
ケーキピックを飾っておく。
なぜだか、自分自身のことに気が向く。
スーパーをウロウロして、マニュキュアとオーデトワレを買った。無駄に高いエコバッグを買い、髪を切った。
……要するに、、わたしは寂しいのだった。
Rは涼しげな顔でコーヒーを飲んでいる。
「行っちゃったね。寂しいね。」
「ぜんぜん。このタルト、赤い実がのってないよ。」