「イケメンの岩渕さんから電話があったのよ、保険の事で。」
「うん」
息子と2人でラーメンを食べながら、わたしは、勢い込んでいた。
家族自動車保険の事は、息子だって当事者にちがいない。
わたしは、この保険トラブルで、むっちゃ、Rに腹を立てていたのだ。
わたしは、おもに、なぜRに怒っているのか、息子に説明した。
「ねっ?わかるしょ?」
ところが息子は困惑している。
「ん…うーん……。」
なぜか、わたしの怒りを、息子は理解できないらしい。
そこで、はたと気がついた。Rも、理解していないのではないかと。
もしや、Rは、ぶんむくれて口をきかなくなるわたしのことを、これまで分かったためしがなかった…のでは?
knoriの感情の機微をRは理解しがたく、 Rの虚勢の機微をknoriは理解しがたい。。
わたしの頭の中は、思いで溢れ、口の中は丸ごと頬張ったでかいチャーシューで溢れていた。
「ところで、きのう、送風機で落ち葉を集めて走り回ってたらポカポカしてきて、外でランチを食べたのよ。12度でも快適だった。」
息子はモゴモゴと、自分も仕事で大変な掃除をした、と、言った。