この映画は、介護と父親の死を看取る3姉妹のお話。
老年、中年の姉妹が父親の介護や入院を巡ってあたふたする。
それを、軽やかにオシャレに撮った映画。
そもそもがめっちゃ地味なテーマのこの映画はかなり見る人を選ぶと思う。
そうした「ある文脈」が必要な映画ってものの評価がどうなるなるのか、わたしには分からないけど、製作者側は、狭いターゲットにしぼって撮ったんじゃないかなあ、とは思う。
イヴ(メグ・ライアン)が姉妹との大ゲンカの後で、「わたしも被害者ぶってた」と言うのだけど、これって偉い!
介護でもめて兄弟が絶縁するとか、よく聞く話なのだけど、発端は大抵、被害者意識なんじゃない?
わたしは一人っ子なので友人に「いいね、みんなで親をみられて」と言ったら、全くこの映画と同じような話を聞かせられた。
彼女の姉は隣の家に住む母親の世話をしていた。けれど、ことあるごとに電話がかかってくるそうで 、「母の具合が悪いので、病院に連れて行く。」「母の盲腸の手術をするのでこちらへ来て欲しい」等々。
で、友人は言ったそうな、「おねえちゃんが世話すると言ったんでしょ。甘えないで。私たちだって忙しいんだから、いちいち飛行機で行ってられない」って。
「で、お姉ちゃん、なんて答えたの?」
「何も言わなかった。黙ってた。」
なるほど、です、わたしは一人なので、自分だけがくたびれた、損した、とか、思いようがないわけだから。甘えが発生する余地がない。
しかし、それでも、大ゲンカのあと、笑いあっているイヴたちが羨ましい。
イヴは父が息を引き取った時、元気な彼を思い出していた。ホロッとくるシーンなんだけど、それでもイヴは3姉妹で泣けるんだ。
わたし、父が亡くなった時、一人で泣いた。
Rは「やれることは全部やったんだから」といって慰めようとしてくれたけど、「ほっといて」って手を振り払ったのは、そんなことで泣いてたんじゃないから。
車をぶつけたドクターのお母さんが、イヴに「お父さんを愛しているのね。とっても疲れているのね。もう電話を切りなさい。」と言って抱きしめるシーンがあるんだけど、たぶん、脚本家は介護経験者で、そのとき、誰かにそうしてもらいたかったんだなあ、と思った。(もちろん、あり得ないことなんだけど)。
あ。イヴとワンコ、犬のシーン、可愛かった。ワンコが。すごく。