「コンファメーション」というドキュメント風の映画をAmazonでみました。ケリー・ワシントン主演です。
これは、1991年にアメリカで本当に起こった出来事です。
大統領によってクラレンス・トーマス判事が最高裁判所の判事に指名をされます。
けれど、アニタ・ヒル教授が、トーマス判事の部下だった時に彼にセクハラを受けたとして訴え出たのです。
私はリアルタイムでこれを見ていました。
TVで見たヒル教授は綺麗な女性で、セクハラという言葉さえ一般的ではなかった時に彼女がこれをやってのけたというのは、すごい驚きだったんです。
映画は、ヒル教授が訴え出ることになった経緯や、公聴会の裏でたくさんの人の思惑が行き交うさまなどを淡々と描いています。
まったくドラマチックじゃありませんので、この出来事に興味がある人は以外は、物足りなく感じる映画かもしれません。
映画のラストの締めもこの事件によって沢山のセクハラ被害者たちが訴えを起こせるようになった、というものでした。
ヒル教授の訴えは以下のようなものです。
「トーマス判事からしつこく誘われた」
「自分のナニはデカイという話をされた」
「卑猥なジョークを飛ばした」
だいたいこんな感じだったと。
…でもって、これ以降、日本でも企業などがセクハラガイドラインなどを作成するようになりましたね。例えば、既婚女性に「こどもはまだか?」と聞いてはいけない、とか。(わたしは、笑っちゃいました。いや、確かに、これはセクハラだけど、台詞から入るのかぁ、という笑いでし。おまけに状況によっては問題なかったりもするし)。
でもって、わたしが独断と偏見で、セクハラの根本に横たわるものについて「ロンゲストヤード」という映画を使って説明を試みたいとおもいます。(えへへ。なんでも分かってる人、ごめんね。)
「ロンゲストヤード」の冒頭のシーンで、早くもセクハラが行われています。
レイノルズは女に金で飼われているジゴロです。そろそろ自分にうんざりしてきたらしい彼は、女に出て行く、と言います。
けれどそれが気に入らない女は彼に「娼夫!」などと罵詈雑言をぶちまけます。
これはレイノルズはセクハラを受けています。別れる、と彼が言う前は合意があったので、セクハラは成立ししませんけど、別れると言った今は、女から立派なセクハラを受けてます。
ピンときたっしょ?
わたしに言わせればセクシャルハラスメントとは「相手を性的対象者としてではなく、性的対象物と見る事で生じます」。
映画の中ほどで繰り広げられるシーンでは、群れの男たちが(受付か秘書の)女の子を性的対象物として扱います。
テーブルを十数人の男たちが囲んでいます。そこで便利屋と呼ばれる男が、レイノルズに女を斡旋したことを匂わせますが(レイノルズは、まさか刑務所で女を抱けると思っていないので、ポカーンです)、そのときの男たちの反応、空気感が、セクハラの温床なのです。
どうしてなのか分からないけど、群れの男たちというのは、女性を一人の性的対象者として見られなくなるようです。(群れの中の一人の男が彼女に好意を持っている時「あの女はいい子だ」みたいに味方したりするシーンもドラマではよく見ますけど)
一対一の男女の場合、殆どの男は相手を「者」として、扱うけど、男性が多い部署だとセクハラ温床があるんじゃないかなあ、と想像します。
(映画では上記のシーンでセクハラは成立していません。女の子が積極的に行為に加わり、楽しんでいるらしいからです。わたしは、この監督はものすごい人格者なんじゃないかと想像しましたよ。役者たちが生き生きしているのもそのお陰かも)。
でもって、昔、たぶん、トーマス判事がヒル教授に対した時に、そういう「物」扱いのノリがあったのかもしれません。
男性にはわからないでしょうけど、これは相当不快です。
あと、トーマス判事がヒル教授に恋心を抱いていたなら、彼女は屈辱を感じなかったかもしれないし、また、ヒル教授が彼をダダ漏れに好きだった場合にも、セクハラだとは思わなかった可能性があります。
…いい加減でどうでも良い話しでしたね。