ゲイリー・ロス監督。 2012年。ジェニファー・ローレンス主演。
わたしは、ジェニファー・ローレンスを世界的な人気者にしたこの映画の感想を書くのを忘れていた。
ガチラノさんのブログレビューを読んで思い出したわけで。彼はこの映画の構成が薄っぺらい事を述べており、そうだろうなあ、と共感した。
ただ、ジェニファーはこの映画のとき髪を真っ黒に染めていて、それがガチラノさん言うところの「モブ顔」になってしまっている感は否めない。(まじで似合ってない。)
この映画もそうなのだが、「メイズ・ランナー」「ギヴァー記憶を注ぐ者」「ダイバージェント」といったこれらの映画はテーン向けの原作を持つ。(わたしは全部好き)。
思うに、これらのテーン向け原作というのは、何か鋭い社会性を持っているというより、個人的な少年や少女の物語、ファンタジーなのだと思う。
わたしはたぶん、少年少女や子供にがっつり心を掴まれたら、構成の弱さは気にならなくなるんだろう。彼等は往々にして映像の中で宝石だ。
この「ハンガーゲーム」も、少女が戦いの場で成長していく物語である。
ゆめゆめ「バトル・ロワイヤル」と比べてはいけない。わたしはバトロワは小説を読んだけど、恐ろしくて映画は見ていない…。が、これを期待して「ハンガーゲーム」を見たら、寝落ちが関の山だ。
ましてや、ジェニファーに何一つ惹かれなかった場合は悲劇だしょ。
(バトロワの映画を見てないけど、小説は現実世界にリンクするリアリティがムンムンしていたし、社会を見据える何かがあったような記憶がかすかにある)。
つまり、全く違うのだ。
ジェニファーは妹を落ち着かせた後、狩りに行く。この時の彼女が瑞々しくて印象に残っている。何か趣があるのだ。そうして彼女に引き込まれていく。
この映画の成功は彼女あってこそ。
ロス監督は構成的に収まりどころの悪いローマ帝国風の建造物は薄暗く映し出していて、いろいろ工夫している。
そしてジェニファーは全てを堂々とやり遂げた。たとえ滑稽な状況に置かれても。
けれど、後続の監督は、笑止千万なローマ帝国風建物をガンガン映し出す。
まあ、でもわたしは大いに楽しんだけどね。
繋がりの悪さだけじゃなく、そもそも、ローマ帝国って多民族、多文化、多宗教をまとめ上げた、かなりすぐれた統治体系だったと習わなかったけ?コロッセウムとかの件があったにしても、なんつうか、短絡的に悪の象徴として持ってこられても笑い話だよなあ。
笑い話ではあっても、それを上回るほど、戦いにおける少女の成長というのは、画期的だったと思うし面白かったんだよねえ。
強いて言えば、スターウォーズに近いと思う。
「わたしを信じて」カットニスはピーターに言うのだ。
彼女の洞察力と度胸!だからこそ、彼女はここにいる。
妹を肩車している恋人に向ける彼女の笑顔。
「ハンガーゲーム」は1、2、3、4作。