あたしは彼を愛しているだろうか?
若い頃の情熱は何だったんだろう?愛情の靄の中にいたはずが、晴れわたった空の下にあるのは、あたしが愛したものの名残り。
若い頃、彼は笑うと目元が甘くなった。いつも大股で歩くので、あたしは置いていかれそうになって文句を言った。
「あたしを忘れてるでしょ。」そうすると彼が笑うのだ。
どれほど彼が愛おしかっただろう!彼はあたしの全てだった。
そしてあたしたちは年寄りになった。
彼はずいぶん年老いた。老いとは醜いものだ。
あたしの愛はどこかへ行ってしまった。アーウィン・ショーも書いていたではないか、老齢が愛を隠してしまう様を。
待ち合わせのカフェに彼が入ってきた。
そお、彼はもう少し痩せる必要があるわ。
「ここ」あたしは手を振る。
彼はあたしを見つけ、笑った…。
それがあまりにも愛しい笑顔で、あたしはなんだか切なくなって、胸が痛い。
あたしは、答えが分かった。