鳳凰の飛翔/逸脱するプラトニックラブ

 中国人の知り合いはいない…一体、中国人ってどんな人たちなの?

 (2200文字)

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ニンイーとフンジーウェィ(鳳知微)👆 

 

このドラマには、ことわざやら格言がいっぱい出てくる。

どうやら言葉遊びもしているようだ。

こうした通俗的な中国のTVドラマは、頭の良い芸術好きの映画狂をターゲットにしているわけではなく、わたしのようなごくごく一般的な市民が相手。

 

ゆえに、多くの一般的な中国人は格言やことわざを駆使し、言葉遊びが好きなんだろうと思う。

…すごくない?!みんなものすごく言語能力が高いの?

漢文が零点だったわたしは、萎れちゃうよ。漢字が苦手なのよねぇ…わたし。

 ん、たぶん中国語は語彙も多くて、簡潔な字幕を見る度に、どんだけ翻訳者は苦労しているんだろうと思うよ。

 

このドラマは、例によって、ネットにつなげる暇がないほど、面白かったよ! たぶん、男性も楽しめると思うな。

 

Netflixオリジナル

2018年

チェン・クン、ニー・ニー。

 

初めの方は、全然、中国ドラマらしくなくて、カンバーバッチの「シャーロック」を思い出すほど、欧米っぽい作り。

王朝の権力闘争劇をサスペンスフルなミステリーに仕立てているんだ。主人公の寧弈(ニンイー)は天才的な頭脳で権力闘争に挑み、病的な雰囲気を漂わせる。

 

わたしは始めのうち、欧米風のドラマなんて見たくはなかったので、見るのをやめようかと思っていたよ。

たぶん、はじめはNetflix側の意向があった。そのうちNetflix役員は飽きたか帰ってたか、なんてことを思ってみたが、20話前後辺りから、俄然、中国ドラマらしさが出てきて、夢中になった。

初めのほうの−余分なものを削いだ作りが緩んできて、中国ドラマらしくなってくるんだ。“らしさ”ってきっと“余分なもの”に宿るんだろうな…。

 

 

あと、天盛時代という架空の物語のせいか、たぶん時代考証に縛られない衣装と美術がめちゃくちゃ素晴らしくて、ニンイーの部屋の壁のお面のような飾りとかデザインが凄くカッコ良くて、彼の衣装も、(彼の設定が織り物が出来、裁縫もできる)からなのか、毎回、素晴らしく似合っているし、ファッショナブルでめっちゃ楽しみだった。もちろん、他の人の衣装も最高だった!

 

 

覚えのない場所で目覚める白いお寝巻き姿の乱れたニンイーがセクシーで写真を探したがめっからなかった👇のでこれで我慢。(こうみえても撮影時、彼は40歳くらいです)

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 後に皇帝にまでのぼりつめるニンィーには片腕ならぬ両腕が存在する。

かたや、諸葛孔明の再来と言われている学者、かたや、官吏のフンジーウェィ(男に化けさせて、ニンイーが送り込んだ)。

男姿のフンジーウェィがナチュラリメイクで最高に可愛いし、イケてる。のに、最後の方の太いアイラインのメイク顔がイヤだ…。

 

まぁ、物語の大半は権力闘争で、そこにニンイーとフンジーウェィのプラットニックラブも乗っかる。

中世の騎士と王妃のプラトニックラブは当時の規範を越境していく恋愛劇だった。

このドラマの二人もその時代からは飛び出た存在で、二人の恋愛は、革命の精神で繋がっている。

 ニンイーは腐敗した政治権力のあり様を根本から変革しようとしており、フンジーウェイの男装による仕事は見つかれば死罪、女子が政治を語るなどあり得ない時代。彼女もまた変革者であり、おまけに、彼女は後半に明らかになるのだが、全王朝の遺児、皇女であった。

つまり、ニンイーの父である皇帝が倒した王朝の生き残りなのだ。

 

中国の国土の広さというものは、たぶん、日本国土も韓国も東南アジアの国もすっぽり入っちゃわない?ロミオとジュリエットの家同士の争い、というよりは、世界一の多民族国家である中国では、韓国という国を倒して日本という国が王朝を開いた、くらいの感覚なのじゃないかしらん、と思うのだけど…?

だから、ニンイーがフンジーウェィを娶るということは、日本という国で韓国人が皇后になる、くらいのインパクトなんじゃなかろうか?

まぁ、そういう二人の愛でありました。特にニンイーの必死の愛でした。

(´;Д;`)ニンイー…わーん。

 

プラトニックって書いたけど、あの最後の最後ね…寝てない、と思うんだ…。)

 

最後、フンジーウェィはやはりニンイーの必要悪を容認することができなかった。彼女の情というか倫理観は、親兄弟、そして前王朝の残党を殺そうとするニンイーを受け入れることができない…。涙。

 

フンジーウェィ役のニーニーさんは男装の時が素晴らしかった。

彼女は、「いま、わたしは怒りに満ちている」というのだけど、変革者の面目躍如というとこなんだけど、その後、ニンイーとの愛で泣くシーン…これが、浅い。

「わたしってかわいそうでしょ」みたいに泣く…。

 …ニンイー役のチェン・クンが上手すぎるから余計目立ったのかもなぁ。

チェンクンについては、今までアメリカの役者にばっか感激してきたけど、アジアにこんなすごい役者がいたんだ、と感慨深かった。

 

あと、このドラマはやたらめったら、母に寄せる子の愛が出てきて、いったいなんなんだ?と。

 NHKのドキュメンタリーで、中国の辺鄙な辺鄙な農村で、工場へ出稼ぎに出た息子が帰ってこず、村人が老夫婦の畑を手伝う、ってのを見たが、もしらしたら、中国では貧しい親を捨てる子供が問題になっているんかぁ…?

 

…。わたしもそろそろどっかに戻らないといけないなぁ。

 

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7皇子って男が嘘つきの悪知恵の働くやつでわたしは絶対に嫌いで、彼が出てくると、全部早送りで鑑賞した。 ニンイーとの共演シーン以外は。あいつ、嫌いだ。