エターナル・ラブ三生三世十里桃花/とパッション

コアにあるのは「性愛」の物語。 

 (3300字)

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皇太子ことイェホアと、スースー。 ☝️

 Netflix  

エターナル・ラブ三生三世ー2017年。

マーク・チャオ、ヤン・ミー。

原題「三生三世 十里桃花」

 

桃源郷で暮らす神々の物語です

中国の人は「三生三世十里桃花」って題名を見れば、仙神の話かな、って思うのじゃないかと思う。馴染みがあると思うのよ。

「前世、現世、来世、十里にわたる桃の花」くらいの意味だと思うが、「前世〜来世の桃源郷」みたいなイメージがあるんじゃないかと。ね?桃源郷と言えば仙神じゃないですか?

仙神って日本で言うところの仙人。七夕の織姫も仙神だし、日本庭園にも仙神思想って影響していると読んだことがある。

 

まあ、そういう神々(仙神たち)が、愛だの恋だのでイチャコラするお話なのよ。

 物語の骨格は、ソフトな性愛表現のレディースコミックの漫画みたいなものかな。(今もその系の雑誌があるのかどうかは知らない)。

それをあっと驚くほどの濃厚で立体的なドラマに仕立て上げています。

美術、衣装、演出、役者たちといったチームが素晴らしい仕事をしたってことでしょうが、イェホア役のマーク・チャオがすごい。

 

現代人にとってどこか懐かしい桃源郷に暮らす仙神たちは、天族、孤族、鳳族。ちょっと魔界っぽい土地で暮らす翼族。

それらの部族を天族が束ねている。天族の皇太子イェホアと孤族の姫バイチェンの愛の物語を中心に、ほか5、6個の恋模様、戦争、サスペンスフルな謀略が描かれる。

 

孤族の姫バイチェンは悪戯っ子すぎて、崑崙山に修業に出される。仙術で男の子スーインに化けて。

2万年、修業するんだけど、あ。天界の1日は人間界の1年です。姫は金色の蓮の世話が好きだった。蓮はつまりイェホアなの。産まれ損なったイェホアを哀れんだ父神が蓮に魂を移した。

生まれる前の“魂イェホア”は、スーインに恋をする。

イェホアはまず、魂だけの存在だった時、スーインに恋して、産まれて青年になった時はスースーに、300年後にバイチェンに出逢うのだけど、彼はこれが全部、バイチェンその人であったことに気がつきます。

 

スースーというのは、戦いで記憶と能力を失い人間にされたときの名前。(人間は最下層の存在。)

高位の神であるイェホアは、なくした大切なものを見つけたような気がする、と唯一心を許せる叔父の神に言う。イェホアは、スーインに似たスースーに熱烈な恋をするわけ。情熱的なそして、皇太子ゆえの許されない恋です。

イェホアは必死になって天族の権力者たちからスースーを守ろうとします。けれど、スースーは絶望して自殺してしまうんだ。まあ、目も取られて失明するしねぇ…。

それから300年後、スースーの忘形見、アーリーを育てながら、ずうううううううとスースーを思い続けているイェホアなの。

 

がっ、スースーは天界から身投げしたときに、封印が解け、バイチェンに戻ることができた。神に戻れたので、彼女は死ななかったんです!

しかし、彼女は、イェホアのことも、愛しあったことも、子供のことも忘れていた…。

 

300年後のある日、桃園を歩きながら、スースーの思い出に浸っていたイェホアを、しこたま酔っぱらったバイチェンが誘惑する。👇

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 バイチェンはイェホアを忘れている。☝️

 

「スースーなのか?」必死です。バイチェンを抱きしめようとするイェホアの胸中を察するわたしは涙涙涙。

バイチェンがあの恋しい愛しいスースーだと確信を深めていくイェホアです。

 実は、そもそも、300年前に、バイチェンとイェホアは結婚することが決められていました。彼はもう誰にも邪魔されずに彼女を愛することができるわけです。

イェホアにとっては愛しい妻。バイチェンにとっては初対面の政略上の婚約者。

彼は、時間をかけてもう一度彼女の心を手に入れようとする…。

 

 しかし、バイチェンをモーユェン(崑崙山の武神で彼女の師匠)に取られそうだ、と気がつくイェホア…。👇

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 愛しい妻を自由にできるのは、もうこの一回しかない、と思ったイェホアは、強引に彼女をものにします。

彼女を押さえつけ激しいキスをした。有無を言わさず、ベッドに連れ去るのです。

…ホロホロとわたしの心も解けました。

 

これを、イェホア役の役者さんは、堪えに堪えていたパッションが溢れ出た、という感情表現で見せていきます。

だから壁ドンを軽々と超えてしまうんです。

バイチェンの初恋の相手、リーチンも彼女を壁ドンするんですけど、これは、型通りのよくある様式的でマンガ的なものです。普通、そうしかならないだろうものを、イェホア役の役者さんは、イェホアの直情的なほとばしりとしてみせるんですよ。

このドラマの成功はこの役者さんにあった、と言っていいのかもしれないです。

 

バイチェンはお兄ちゃんのバイジェンに言われて自分は彼をすごく好きだってことにやっと気がつくんです。

「あなたを愛している」と彼の胸の上でバイチェンがささやきます。

イェホアは…泣くんですね…。

わたしなぞは、「よかったねよかったね、イェホア」って号泣っすよ。

(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

 

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余計なこと

多分多くの女性は、乱暴さ強引さ、は嫌いです。

ただ、イェホアの強引さは、それだけ強く彼女に惹かれているってことです。

別にマゾヒストの支配、ってなことを持ち出さなくても、男の強引さは女の持つ引力そのものでもあります。

その彼の愛が鏡のように女性に跳ね返って、女性は、多分多くの女性は体が溶けますね。

つまり、気持ちが無ければ、どうしようもないってことです。

 ただ乱暴で強引なんて、女性は嫌いなんですよ。

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わたしはこのドラマを2回見ました。分かる人はわかるでしょうが、

もういわゆるイェホア💘ロスです。

 

で、2回見て気がついたこと。

翼族、って男色、ありなんだってこと。

スーインといっしょに翼族に捕まった兄弟子が翼族の王から養子になれと言われて、監禁されるわけだけど、その間、兄弟子はなん回も自殺未遂をした、というのが解せないし、崑崙山に訪ねてきたリーチンを庇った時も、えー、兄弟子のこの顔の表情はなんだ?と思っていたわけ。

2回目で分かったよ、王に強姦されたんだと思う。ん。…かわいちょ。

それとバイチェンのあれはキスマークだよねー。中国ドラマだと思うから、えー、ってなるよ。

 

あと、モーユェンがしみじみとさせてなかなか良いって気がついた。

モーユェンはイェホア役の人がひとり二役やっているんだけど、なんとわたしは後半になるまで別々の人が演じていると思ってた。

 

あ、あと、リーチンの父親は毒親なんだ。繊細で善良だったはずの彼のこじらせ具合も面白かった。リーチンはホントにスーインが好きだったと思うけど、肝心なときに、ことごとく彼は女と乳繰り合っていて、スーインに見られるのよねぇ。そらも、望みなしよ。

かように、それぞれの部族の文化習慣がそれぞれに違うところも面白かった。

 

バイジェンとゾイエンのコンビが、一を聞いて十を知る人たちで、観客のガス抜き役を兼ねてて見てていつもスカッとした。

戦闘で、バイジェンがスーインと兄弟子を助けに舞い降りて、二人を引き揚げてゆくとこはカッコ良すぎて忘れられない。

それと中国の笑いって、前も書いたと思うが、自然な笑いなんだよね。

めったひどい怪我を負ったイェホア、なんせ、片腕がもげた、が、なんとか起き上がって、まあ、悲劇的状況ですよ、蓮って再生の意味があるよね?ゾイエンはそれで義手を作ってあげるんだ。イェホアはバイジェンとゾイエンに両手を持ち上げて拝礼しようとするん。

が、義手が動かない。呆気にとられているバイジェンとゾイエンを前に困った顔のイェホア…。

笑っちゃったよ。

 

帝君とフェンチウの恋も良かったです。

夢現つの彼女。帝君に抱きしめられ「夢の中ではわたしを愛して…」って言うんです…。泣けます。

台詞は正確には「お返しをください」だったけど、まぁ、愛して欲しいの、ってことやねー。

(´;Д;`)

 

 

非常に簡潔すぎる字幕で見てるが、わたしは中国語の音が好き。軽やかできれいな音だよねー。