奇皇后/“恨”/原因と結果/

彼女の顔をずうっと見ていた。

 (2300文字)

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韓国映画  「ときめきプリンセス婚活記」のシム・ウンギョン☝️

 

シムさんはもちろんすごく可愛い。可愛いけど、劇中でも子供たちに不細工扱いされるように、美女がひしめく役者たちの中では地味な容貌。

ところが、わたしは彼女ばかり見ていた。引き込まれる、彼女の顔に。

おまけに、全くなんでもないシーンで、気がつけばわたしは泣いていた。それが2箇所。

音楽にも演出にも観客を泣かす意図はなーい!のに、彼女に泣かされた…。

このコメディ映画は、内容もほぼ忘れているけど、彼女のことだけは明確に覚えてしまった。

なんていうか凄い女優だと思った。

 

韓ドラの「王は愛する」には、二人の男性に愛される少女が出てくる。

彼女は美しい。楽しんで見ていたが、彼女の気持ちが二人の男性の間で揺れるあたりから、彼女の顔に飽きてくる…。

カサブランカ」を魅力的に演じたバーグマンが「最後まで、わたしはどっちを好きなのか知らなかったのよ。台本は撮影の都度、直前に渡されるの」と言っていたが、

この少女もそういう役で実際にどちらを好きなのか分からないまま撮影にのぞんでいたらしい。

どっちを好きか明らかにされない役。その顔を魅力的に見せるには多分力量がいるんだなぁ。

 

👇「王は愛する」韓ドラ

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「王は愛する」韓ドラ☝️

 

このドラマは☝️、中国ドラマの「鳳凰の飛翔」に設定が似ている。

韓ドラも中国ドラマも双方とも主役の王子の親が、毒親なんだ。

 

韓国ドラマのほう(「王は愛する」)では、毒親によって王子の心はほぼ壊れかけていた。それを救ったのが、絶対手放せない友(写真左端)だ。そして王子と親友は少女に恋をする。

 

韓ドラって良くも悪くも中国ドラマに比べると、洗練されているよ。

バリバリ商業主義的なこと、切り詰めた製作などなど、日本とよく似ているのではないかと思う。

が、

わたしは、たぶん、韓ドラ、日本ドラマより中国ドラマが好きだなぁと思う。

中国ドラマの物語りの豊かさに惹かれるのだと思う。

 

例えば、中国「鳳凰の飛翔」と韓ドラ「王は愛する」で考えてみる。

…ま、どんどん忘れるので、わたしの妄想的な印象を書いておくよ。

 

韓ドラ「王は愛する」、では、王子の現状について、因果関係をきっちり描く、原因と結果ってやつだ。なんとなく日本でもおなじみの演出だなぁ、と思うが、

鳳凰の飛翔」では同じく毒親を持つ後の始皇帝が描かれるのだが、こちらは、因果関係にこだわるというより、そういう因果の中で彼がどう生きたのか?その人生を描く。

 

それはとても大きな違いだ。

 

わたしは、悪い結果に対して原因を探り、訂正し排除し、学ぶべきところは学ぼうとするだろう。しかし、原因に対して、関わる事が出来なかったり、余裕がなくただその中で生きるしかないとき…ってのがある。

手も足も出ないような原因に縛られてしまうと、自分に責任を引きつけて前進することが、、できなくなる。毒親のせいなのだ、社会が悪いのだ、etc。原因と結果がイコールで結ばれてしまう。

 

中国ドラマの物語の豊かさは、ヒロインやヒーローたちが決して原因に縛られないところだ。

彼らは、果敢に冷酷に勇敢にむしろ原因を生きてみせる。

それが強烈に中国ドラマに惹かれた理由のひとつだと思う。

  

 

「奇皇后」👇韓ドラ

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 「奇皇后」☝️韓ドラ

このドラマで非常に印象的だったのが、貢女たちの手紙のシーン。

貢女というのは、毎年、「元」(中国)の属国扱いだった「高麗」から数百人の男女が奴婢(奴隷)として強制連行され、彼女らは貢女と呼ばれた。

奇皇后も高麗から貢女として元に連行された歴史上の人物。

その女性が皇后にまで上りつめた。

貢女たちは、男子は宦官にされたり、女子は宮中で下働きさせられたり、一生、故国に帰ることなく、出世するものもいたが、大半は辛い人生を送ったらしい。

 

で、手紙のシーン。

後の奇皇后は、宮中で下働きをしている時、解放され、高麗に帰ろうとしていた。

大勢の貢女たちが彼女を見送り、手紙を託した。

その時、皇后の一派が妊娠したある貢女を殺すために刺客を送って、その場にいた貢女数十人を皆殺しにした…。

もちろん、後の奇皇后は生き延びて、託された手紙を血だらけの手で開いたのである。

 

「お母さん、末っ子のキクです。

宮中では毎日おいしいものを食べて、幸せにやってます。

(……略)

お母さんに、会いたいです。」

 

下働きの者は雑巾掛けの合間に、その場で、丸めた雑穀だらけのおにぎりを食べる…。

美味しいものなんて食べていない…。

 

無残に殺されたシーンの後だけに、もうもうわたしは可哀想で可哀想で号泣。

 

前にネットで“恨(ハン) ”について書いてあるブログを読んだ。

知らなかったので、びっくりした。

 

 ただ、このドラマを見て、少し分かった気がした。

「恨」というのは、韓国の人にとっては、とても普遍的な思いではないかと思った。

なんていうか、民族の誇りに直結するような観念…ではないかと。

なんていうか、こうした他国人には理解しがたいものを持つ国の人を慰安婦として連行した歴史というのは、大変なことだとしみじみ思う。彼らの誇りを下から支えるもの、それについて、私に何が言えるだろう?

たぶん、韓国人から、慰安婦や植民政策について批判されれば、もうわたしは頭を垂れるしかないのだなぁ、と思ったよ。

しかし、それ以外では韓国の人と一緒に仕事もできれば、友になることもできるだろう、そう思ったよ。

 

「太陽を抱く月」👇韓ドラ

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 このドラマは韓国で視聴率が50%近かったらしい。

つうわけで見た。

写真の二人が素晴らしかった!特に女の子がイイっ!