如懿(嫻妃)は、激怒した乾隆帝によって廃された皇后だった。
激怒された理由は不明なのだけど、諸説ある中で有名なのは、満洲人にとっては禁忌である断髪をしたんだ、というもの。
このドラマは、断髪するに至った如懿を描いた架空の物語!
如懿を演じたのはジョウ・シュン。中国で大女優と言われる人。
ジョウシュン、素晴らしかったよ。宮廷ドラマの最高峰だと思う。 美術衣装、メイク(細い眉)は史実に忠実らしい。
モデルになっているのは、乾隆帝の時代。清朝時代の最盛期で、日本はその頃、江戸時代。
清国は、女真族(満洲人)を統一し、明王朝(漢民族)を征服したヌルハチによって建てられた。
女真族は、ヌルハチ(武帝)、ドルゴン、康熙帝、雍正帝、乾隆帝といった天才的な皇帝、出来の良い皇帝を多く出した、とわたしは思っている。
ドルゴンもすごい、みんな凄いけど、康熙帝なんて、14歳の時、少年たちを集めて訓練し、政敵を追い出した!15歳で親政を始めた!早熟の天才だよ。…ドラマ見ると。。
なにせ、ほぼ300年間近く、人口の10%くらい?に過ぎない満洲人が、大多数を占める漢民族を支配していた。乾隆帝の時代には、現在の中国領土を少し広くした国土を持ち、史上最高に豊かに栄えていた。
そいで、乾隆帝はれっきとした満洲人なんだけど、漢人の母から生まれたと、語り継がれてきた。このドラマでも、漢人母ってなってる。
ね?ナルホド、って思うしょ?\( ˆoˆ )/
むかし、日中合作映画を見た時、「中国は漢なんだ!」という台詞があって、多民族国家が言う台詞か?とずっと謎だった。それが中国ドラマを見るようになってようやっと解けたよ。
ネタバレ注意
86話。飛ばしながら見ても長い。後半からが素晴らしいの。
この時代は、、一夫多妻制。後宮は、結婚生活の場。子供(皇子)たちの勉強する建物も後宮内か中宮にあって面白いと思った。
そいで、数十人いる妻たちは、公的行事以外は後宮から一歩も出られない。
したたかな閉鎖空間で、繰り広げられる物語り。
このドラマの如懿は、幼馴染の乾隆帝と相思相愛だった、という設定。
少女の時に、側室(妾)として嫁ぎ、後に正室(皇后)になった。
つまり、恋愛結婚だったという設定からして、普遍的な「女の愛」の物語なのよ。
「この愛を貫きたい」
皇太后に向かって、生真面目に朴訥に、如懿は答えた。
ところが雲行きが怪しくなり、「あれれ、乾隆帝は、如懿を愛してないよ!逃げなさい!」と画面に叫ぶ間もなく、如懿は冷宮送りとなる。。冷宮は、留置所みたいなもん。
無実なんだけど、なんと3年間も入れられてた。
興味が尽きる人も多いと思う。だけど、わたしは「断髪」にどう決着をつけるのか、知りたかった。良かったよ、最後まで見て。
特に、最終話の如懿の優美だったこと!!
如懿は40代になっていた。月を見ながら、侍女にポツリポツリと思い出を話す。そして、
無音。音楽が止まった。彼女はここで少し、身じろいだ。
ジョウシュンは、この少しばかりの動きで場面を、、繋いだ、、なんかすごかった。
「想像してみて」
「後宮で何も起きなかった時のことを」
如懿は振り向いて、侍女にそう言った。如懿の笑顔が私の心に飛び込んできた。
心を揺らすような音楽はない、如懿の声だけである。
わたしは泣いてしまった。
茶葉を取りに行った侍女が戻ってきた時、彼女は事切れていた。
如懿は、この少し前に、廃后になった。
乾隆帝の前で髪を切ったのだ。このとき、ようやっと少しばかり乾隆帝は、彼女を理解した、自分は如懿に捨てられたのではないか?と。
彼女は、髪を切るという禁忌を犯すことで、神に等しい乾隆帝への愛を断ち切ったのである。
神への愛を断ち切るにはそうするしかなかった。
皇后の印璽も受け取らず、皇帝と並んでいる絵にハサミを入れた。描かれた自分を切り取ったのだ。
一緒の墓に入りたくない、という意思表示。
子供への遺書にはこうあった。
「わたしは長い間、病に苦しみましたが、解放されて自由になれました。」
求めたり、期待したり、責務を果たす愛から自由になった、と言っているのである。
わたしは、蛇のように冷酷な乾隆帝を全く理解出来なかったし、もっすごく嫌いだ。
一度、如懿は乾隆帝に叩かれた。その時の悲しそうな如懿の顔を忘れられない。
ジョウシュンは、静かに深い表現をする。
密かに如懿を愛していた侍衛の凌雲徹が、「陛下は優しくしてくれますか?優しくしてくれるようになりましたか?」と聞く。
わたしはしばらくしてようやっと、そうだ、乾隆帝は如懿に全然優しくないんだ、と気がついた。
後宮では、夜伽の頻度ですべてを測る。普通の男の、普通の愛の眼差しに晒されて、あり得たかもしれない如懿のシアワセに想いを馳せた。
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一番上の写真、
年若い如懿が、泣くまいとしているところ。演じたジョウシュンは、44歳。
いつもなら、子役を使えよ、と思うところ。わたしは始めて気にしなかった。
もちろん、年相応になってからの如懿が素晴らしいのは言うまでもない。