覇剣 五神の覚醒 その2

ドラマはギリシャ悲劇を模しているように見える。

この見方でいくのも一興だなぁ、と思う。

ウー・レイ👇

unext、課金解除。わたしは、ドラマ後半をとても楽しんだ。

 

先ず、

原題は「上古密約」。神話の五神が千年後、人間界に転生する。

 

上古の神々はペルソナを被って出てくる。台詞に被さるしつこい歌は、コロスのつもりかもしれない。

そして、このドラマは、まごうことなき悲劇である。

ウーレイと姉(養女)の悲恋に、ウーレイの兄の破滅が絡んでくる。

兄は、アガメムノンのようだし、ウー・レイは、アンティゴネのような葛藤に苦しむ。

神として覚醒した兄、姉、弟ウーレイは、圧倒的に強い妖魔と戦わねばならない。

兄は、妖魔に勝つために冷酷、非情な判断をする。

彼は、尽くしてくれた妻を殺し、ウーレイの大切な友も殺そうとする。

「家族だろう!」というウーレイの叫びは「民を救うためだ」という兄の言葉にかき消された。

ウーレイと兄の対立は、言ってみれば「孔子の愛」と「法家思想的なもの」との対立だ。たぶん。。

ウーレイの主張には、アンティゴネが持つ思索的な広がりはない。

孔子、法家は、ある意味、洗練された合理精神だと思う。洗練されている分、中国ティストの悲劇は、見終わった後、考え込むこともなく、情緒だけが残る。

 

ウーレイは、伸び伸びと生きている若き武将だ。姉との愛を手に入れた、と思った、その矢先、その愛は解決不可能な事態に陥る。

「命への愛」と「神としての義務」に挟まれてしまうんだ。

しかし、兄との言い合いで負けたことで、最後のウーレイの選択、その悲劇に、カタルシスが生まれた。

 

感傷や余分な情緒が排除された演出で、わたしは面白かった。もっとも、悪意に満ちた朝廷のシーンは全部飛ばした。

エンタメしているのは、若手俳優たちの美しい貌だけなので、このドラマがウケるかどうかは分からない。