みなもにかかる木には赤い花が咲いていた。
老人がこちらに歩いて来る。ひたひたと画面が近寄ってきた。
UーNEXT2011年、ポン・マンデ監督。全4話。
イ・ソンホ、イ・ウヌ出演。
ヘタなTVドラマを観た後のせいか、韓国TVドラマは圧倒的な力量で迫ってくる。
あっという間に場面は過去の出来事に切り替わった。
どこか下品な女の皮膚には玉のような汗が浮いている。
下から舐めるように女の下腹部、重く垂れ下がる乳房を映し出した。
えー、と思うような濡れ場、セックスシーンなのだ。
どうしようか、と思っていると、外で待つ下男の暢気な顔のショットが邪気を払うように何遍も入る。
どうやらわたしは、「春香伝」の二次創作ならぬ三次創作であるノーカット版を見ているらしい。
下男は、パンジャと呼ばれている奴婢でこのドラマの主役である。
春香は、貴族の父親と芸妓の母親もとに生まれた18歳の女の子。
短く言えば、このドラマは、この2人の情熱的な恋の物語だ。
2人のセックスシーンがとても良い。求め合う2人の息づかいやもどかしい欲望、あぁ、恋ってこうだよな、と思う。
対象的なのは春香の下女による濡れ場だ。
男の歓心を買おうとする下女は、裸体をあらわにして揺れる。下女からは見られている意識が立ち昇ってくる。
冒頭のような行きずりのセックスや、芸妓との遊びのセックス、様々な濡れ場シーンの違いは、主役たちのセックスシーンを美しく見せる。
濡れ場の事しか書いていないが、下敷きは「春香伝」なので、お話しも面白い。
ユーモラスなシーンも多く、軽妙なドラマだった。
見終わった瞬間、喜びが湧き上がって、ちょいとばかしわたしは感動していた。