ウォーレン・ベイティ脚本、監督。2016年。出演ウォーレン・ベイティ、リリー・コリンズ、オールデン・エラエンライク、マシュー・ブロデリック。
この映画は、ハワード・ヒューズに焦点を当てて見ないと、ベイティさんはどうしてこの映画を作ったの?わからないのよ…になりかねないなあ、と思ったです。
お話は、
ハワード・ヒューズの50から60才くらいまでを描いているのかな。彼の部下と彼が囲っていた女優の卵との恋模様、そういったお話です。
ハワード・ヒューズという人は、当時、地球のお金の半分を持っている?とか言われていた大大富豪でいろんな分野の企業家でした。
が、若い頃の彼はイケメンで飛行機乗りでヒーロー、アイドルみたいな騒がれかたもしていました。放浪していたとか、数々の逸話の持ち主でもあります。
そして、50代頃から、彼の病気が始まりました。ホテルのペントハウスに閉じこもって人前に姿を見せなくなったのです。
正確なところはわかっていませんが、強迫神経症だとか、バイコデンの中毒だとか(飛行機が墜落して彼は大怪我を負った)、色々憶測されています。
わたしは彼を扱った映画をいくつか見ていますが、このベイティが演じる、謎の時代のヒューズに、一番、納得した、というか、ああだったんだろうなあ、と思わせられましたよ。
そういう意味において、この稀有の人物を描いた映画としては、わたしは高評価です!(巷では評価が低く、DVDスルーされましたが)。
もしかしたらベイティの脚本的には、部下と女優はヒューズという人物像を浮かび上がらせるための設定だったのかもしれません。
ところが、どんだけベイティがうまいこと演じても、若い二人には力がありました。
ヒューズの部下と女優の卵
ベイティは80歳近いのに50歳代の役をやりました。
二人に力負けしたベイティのおかげで、まったく焦点の定まらない映画になったんじゃないかしら?
実際年寄りなウォーレン・ベイティ
彼は、有名な「俺たちに明日はない」のクライドをやりました。彼が持ち込んだ原作だったようです。
ボニーとクライド(フェイもベイティもわ、わかい!)
監督としてベイティはテンポよく映画を撮り上げています。上手いと思いました。
薄暗い映写室で飛行機の墜落シーンが映し出され、ヒューズは一人、最中を丸めて見入ってます。
この墜落シーンを見ている彼のショットが時折挟まります。非常に病的です。
また彼のオブセッションが会社を失う恐怖からきているかのような描写や彼が病んでいても、頭脳明晰で、カンのいい優れた企業家であるそうしたことを物語るショットも時折挟まります。
そうして映画は、部下や女優の卵とのやりとりを通して、いかに彼がもろい精神状態にあるのかを見せていくのです。
ラスト、女優の歌は、彼女に与えられた家で歌われたものではないかしら?それならば、彼は女優の家も盗聴していたのかしら?
いずれにしろ、彼は、全て分かっていたわけです。部下と女優の関係も、便宜上の結婚相手に彼女を選ぶわけにいかないことも。
ラスト、祝福するかのように盗聴テープの歌を聴きながら、彼は深く深く奥に閉じこもっていくのです。
ところで、子供の顔ですが、横幅が妙に広くて、引っかかりませんか?^_^
もひとつ、ところで、女優が敬虔なクリスチャンゆえに、
婚約者と肉体関係を持つ彼は結婚しているも同然であり、そうした関係に絶望し、 ヒューズを誘惑する、つう発想にひっくり返ったわたしです。現代はつまり不倫や結婚にたいして不感症な時代なんですねえ。
右側、マシュー・ブロデリック
マシュー、老けたーあ!
彼の出た「 トーチソング・トリロジー」という映画が大好き。
今でも、うさぎのスリッパが思い浮かびます。もちろん、可愛かったマシューも。
可愛かったし、可哀想で、悲しかったなあ。