ジョス・ウィードン監督、脚本。 2005年。TVドラマ「ファイヤーフライ」の完結編。ネイサン・フィリオン、サマー・グロー出演。
わたしは12才くらいでした。
星を見ていて、恐怖に襲われました。
星屑で出来た人間という存在に一体、どんな意味があるのか、足元がガラガラ崩れ落ちる感覚です。意味なんてない、そういう思いです。
ずううとこの感覚には悩まされていましたけど、学生の時、柄谷行人の「意味の病」という本を読んで、なるほどと納得しました。
無意味とか基盤が崩れる感じとか、それは意味に囚われているからなのだ、と彼は言います。逆転の発想ですよね。
事実をただ見ることしかできない、それはわたしの救いになりました。
…それでもわたしは、例えば、「スタトレ・エンタープライズ」のOPなどを見ていると、無性に知りたくなります。宇宙を俯瞰で見てみたくなります。この欲求、分かります?
わたしにとって、だから、SFって永遠なんです…。
というわけで、
Netflixで配信されている「セレニティ」の感想を書きます。
随分前にTVドラマ「ファイヤーフライ」を見ていて、途中で打ち切りになってしまい、ガックシしていたところ、続編で映画があるというので、DVDを買って見ていました。
TVドラマ「ファイヤーフライ」ですが、身始めた時は、主演のネイサン・フィリオンに馴染めなくて、ウゲーだったんです。
マル役のネイサン
彼は衣装が致命的なほど似合っていませんでした。
おまけに、ドラマは西部劇をやっているんです。ぬけぬけと幌馬車も出てきますし、馬に乗ったカウボーイ風も出てきました…。
SFガジェットとしてはボロい宇宙船だけ、というありさまで、見るのをやめようかと思ったけど、話しは面白いんですよ。
で、見続けているうちに、だんだん、どんどん、いや、面白いよねっ、つううか、ハマっっちゃったわけです。
このドラマの原作はジョス・ウィードンですし、脚本にも参加しているようだし、彼は、興味深いキャラクターを作りあげるのが上手いですよね。
それでリバーという少女の謎がずうっと残って、コアなファンにとっては心残り、心乱されっぱなしだったんですけど、そのみんなの心を汲んだ映画が作られ、それが「セレニティ」です。
この映画ではマルの衣装が多少改善されていました。
マルと仲間たち
左から二人目がゾーイ
ウェドン監督は、
「アベンジャーズ」
「アベンジャーズ・エイジオブウルトロン」
「ジャスティス・リーグ」の脚本監督をやっていますが、「セレニティ」が長編監督作の第1作目でした。
彼は脚本家一家の生まれで、祖父、父が脚本家です。
沢山のキャラクターを上手に生かすし、プロットのアイディアも豊富な人だと思います。
だから、この映画も良くぞまとめた!というところなんですが、やっぱり、ドラマのアイディアを2時間にまとめたわけで、ドラマの特徴だったゆったりした遊び心は(最後の最後をのぞいて)省かれちゃっているし、ぎゅう詰め映画という感じです。
この映画だけ見ても問題はないとは思いますが、やっぱりドラマを見ていて、マルとゾーイの関係(独立戦争の上官と部下で数少ない生き残り)にゾーイの夫がヤキモチを焼くエピソードとかを知っているのと知らないのとでは、違うだろうなあ、とは思います。
それに、マルとモリーナの愛し合っているくせに、キスが一回だけ、という二人を面白がりつつ見守る仲間、というあたりも知らないと、モリーナからの連絡をみんなが見ていたシーンも感慨が違うだろう、と思います。
それでも、ドラマの映画化という作品群の中ではCGといい、ダンス的アクションの面白さといい、出来が良いです!
^_^おわり。