『 時は平安時代、まだ闇が闇として残り、夜になれば人も、鬼も、物の怪も、同じ都の暗がりに、息をひそめて住んでいた時代だ。』という夢枕獏氏の妖しさは、なりをひそめざるを得ない。
Netflix 中国制作。
グオ・ジンミン監督、脚本、2021年。夢枕獏、原作。
マーク・チャオ(晴明)、他イケメン多数。
平安時代にあたる唐の長安は、世界最大の都市だった。長安を見た空海は、その華麗さに驚嘆したという。ひかり溢れる都を舞台にする中国版「陰陽師」は、一体どうだったのか?
「驚いた!」
(わたしは、2001年野村萬斎主演作と、無意識に比べているのかもしれない。野村萬斎の「陰陽師」は、映画の出来不出来にかかわらず、晴明は萬斎しかあり得ない、と断言したくなるものだったんだ。)
中国版は、
「むっちゃんこ面白かった!」
ファンタジーに対して何か奥深いものを感じさせる中国は、楽々と「陰陽師」を取り込んでいる。
同じく マークチャオ主演の「ライズ オブ シードラゴン」 を思い出しながら見ていた。
「陰陽師」の方が好きだ。
そもそも、陰陽師のような呪術師の魅力に抗えるはずがない。西洋にはアーサー王のマーリンやドクターストレージだっている。
特にわたしにとって陰陽師は、本当の闇の中で妖しく揺らめくのである。
マークチャオの役作りも興味深い。
野村萬斎と真逆になっている。一つの裏と表、陰陽☯️のようにピタリと重なり合う。
萬斎を邪とするなら、チャオは正である。
マークチャオと一緒の演技者は、いつも引き立てられる。
萬斎は周りに大根を転がす。
ところで、もう一本、公開が待たれているのだ。
中国版「陰陽師・侍神令」、チェンクン主演である。
予告編を見ると、野村萬斎に近いのではないかと思う。真っ向勝負やん!と、勝手に思っている。
もうもう、楽しみで楽しみでしあわせなんだ。