あの国が嫌い

わたしの親友は嫌韓なんです。 それで「韓国嫌い」について考えています。

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 彼女の場合、嫌いだ、の発端はニュースですね。領土についてのニュース、慰安婦像のニュース、その度に、彼女は大いに怒ります。

 

わたしは黙って聞くだけです、よく分からないから。(彼女への愛ゆえに黙っているわけではありません)。

 

あの国が嫌い、この国が嫌い、という事象には歴史が絡んでいます。(過去の大戦で侵略して被害を与えました。)

昔、わたしが心を惹かれたのは「他国に対して反省を見せ、信頼を勝ち取る」というもの(経済交流のためにも人々との交流に関しても必要)。しかし、よく考えればこの物の見方には「EUみたいな共栄圏思想」が横たわっています。

 

けれど、親友の態度を見るにつけ、歴史的観点にはうっちゃりをかませ、違うと思ったなら言いたい事はきちんと言おう!そんな風です。前進あるのみって感じでしょうか。

 

こうした事態にはわたしが思うに2つくらいの要素があると思います。

一つは、昔読んだ「2ちゃん祭り」(誹謗中傷捏造罵詈雑言のあらし)についての本が参考になるかと思うのですが、アラシとは、「それはアイロニーだ」「それはネタに過ぎない」というようなガス抜き効果だ、的な話し(短絡的、読解力不足でごめんなさい)。

でもつまり、(わたしに言わせれば)、「ただ乗りして日頃の鬱憤を晴らしているアホ祭り」の横行(息抜き?)です。 

いずれにしても何かをスケープゴートにあげたくなるのですが(マスコミとか?😋)、難しいですね。

 

もう一つは、愛国心が根底にある、ような気がします。

…ここら辺になるとわたしはよく分からなくなるのですが(自分にどの様な愛国心があるのかよくわかりません)、ただ、自分に注意は課します。

集団主義に絡め取られてはいないか?

傲慢ではないか?

思考停止になっていないか?

他国の人が言いたいこと、他国の事情状況を理解しているか?

そんなことを思います。

 

本田圭佑選手はなんだかお手本ですね。外国で暮らして自分の愛国心に気がついた、と。そしてほんとに分け隔てなく他国と交流したり他国でボランティアしたり、偉い人です。(たまにおかしな事も言いますがご愛嬌です)。

 

 

ボヴァリー夫人とパン屋

アンヌ・フォンテーヌ監督。 2015年フランス映画。 原作はポージー・シモンズのグラフィック・ノベル。

 

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ジェマは首を伸ばしてパンの匂いを吸い込んだ。

白いうなじの後れ毛に光があたっている。

マルタンは息が止まる…。

 

 

ファブリス・ルキーニマルタン役、ジェマ役はジェマ・アータートンです。アータートンにはびっくりしました。「人生はシネマテック」の彼女とは別人!にしか見えません。

 

この映画は原作者がイギリス人です。(原作は未見ですが、映画を見る限りでは)、ギュスターヴ・フローベールボヴァリー夫人』のパロディなんだろうと思います。

 

パン屋のマルタンは退屈していました。彼は出版社に勤めていたのですが、まあ、夢を見て、田舎に戻ったわけです。 そこへジェマ・ボヴァリーとその夫が引っ越してきました。

映画はこのマルタンのジェマに対する妄想まみれの関心から成り立っています。

 

まあ、わたしに言わせれば、マルタンフローベールです。

フローベールマルタン)がジェマを見つめながら妄想に浸りながら物語を紡いでいくわけで、これはイギリス流の皮肉を感じます。そして映画全体は名作古典のパロディであると…。

 

 

パン屋に入ってくるアータートン、暖炉の前の彼女、ウットリするほど魅力的です。

彼女の物憂げな表情は美しい肢体を無防備にさらけ出します。非常にエロい!

監督はこのエロの裏にコメディを貼り付けているんです。こういう女の隙ってエロいでしょ?と。これにマルタンが目をまん丸に見開いて応える。ところどころ、笑ってしまいました。

 

 

あと、ラストのオチ、こうなるだろうな、という予想通りに終わりました。

 マルタンの異常な彼女に対する関心はストーカーに限りなく近いんですが、それに気がついているのは、彼の奥さんと息子だけで、他の人は全く気がついていないのです。彼は釣った魚に餌をやりわすれています。

 が、

ラストにさり気なく示されるマルタンに対する息子と奥さんの眼差しが、監督のアイロニー、わたしの彼に対する嫌な気持ちを、笑いと共にひっくり返します。わたしはフローベールを可愛いとさえ思っていました。

 

 

 

 原作のグラフィック・ノベル

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この映画はフランスで4週連続1位だったそうです。 

 

 

ビル・マーレイ・クリスマス

 Netflix提供のTVバラエティーショー。2015年。

ソフィア・コッポラ監督、脚本ビル・マーレイソフィア・コッポラ

 

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原題は「A very Murray Christmas」、題名からしバラエティーショーです。

ビル・マーレイという人は1977年からあの有名な「サタデー・ナイト・ライブSNL)」に出ていました。

スターウォーズのテーマソングに歌詞をつけて歌ったのは有名です。

 

 このショーはオープニングとエンドロールの後かな、そこに映画の監督としてのソフィアの艶がみてとれましたけど、肝心のショーに関してはマーレイや出演者に自由に演らせているのか、まあ、よくは分かりませんけど……、カメラワークがヘン!

これはTV音楽の専門家にやらせた方が、一億倍は良かったんじゃないかと思いました。

 

お話は、

マーレイはクリスマスイブに豪華ゲストを迎えてライブの特別番組をやることになっていたけど、大雪、停電やらで誰も来ない。それでマーレイは孤独にショーをやる事になって、よって歌詞は、クリスマスソングながら、孤独なクリスマス、寂しいクリマス、というらしからぬもの。

まあ、結局はいろんな人が集って楽しもうぜ、って事になります。

 

SNLの後輩、クリス・ロック(音痴で有名)がマーレイにつかまって一緒に歌います。

丁度真ん中あたりで、マイリーサイラスが「きよしこの夜」を真面目にポール・シェーファーのピアノで歌うのですが、ピアノも歌も素晴らしかったです。

 

まあ、わたしにはマーレイの歌詞の面白さがダイレクトに伝わらないので(字幕を見てる)、そこは難です。

 

冒頭のシーンで、マーレイが振り返って97%のカメラ目線でこちら(観客)をみつめてくるんですが、それなのに、こちらを見ていない、画面の外の誰かを見ているというのが伝わるという、ちょっと驚く芝居をしています。

 

それで、エンドロールの後、中年の女が宴の後、一人ぼっち(そう思わせる、クリスマスだし)で座って酒を呑んでいます。

「へい、ヤングレディ!なんとかかんとか?」と男の声。彼女は笑顔で答えて男は去ったようです。

で、女が呟きます。

「なにが、ヤングレディよ…。」

 

 

 マーレイのスターウォーズの歌


Star Wars Bill Murray Lounge Act Song

 

 

 サタデーナイトライブ 


Bill Murray Monologue: American Comedy - Saturday Night Live

 

 

このバラエティーショーは、アメリカの昔のショーを懐かしめる人か、酔っ払ってブログを書こうとし、「イェーィ!」の後が出てこない人にオススメです。